第750話 「刷新本部 期待せず 75%」
今朝の読売新聞 朝刊の一面に同社の世論調査の結果が取り上げられていた。内閣支持率などの調査を行なったそうだが、その設問の中で、自民党が党内で立ち上げた「政治刷新本部」については、期待できる 17%、期待できない 75%という結果だったそうだ。
この数字は極めて私たちの感覚と一致していると同時に、政治家はこの結果を本当に「真摯に」受け止めなければならないと思っている。
今回の「パーティー券販売料キックバック裏金問題」について、国民が何に怒りを感じているか、というと、「派閥政治」に対してではなく、「一般企業であれば、1円単位での申告漏れさえ『脱税』とみなされ、追徴課税を受け、会計責任者だけではなく、企業のトップも処罰を受ける、あるいは監督責任を問われるのに、なぜ政治家、国会議員は、このようなことがまかり通り、会計責任者が起訴されても、派閥の責任者はしらばっくれたままで済まされ、また本質的には「脱税」ととらえられるべき事案であり、金額の多寡に寄らず罰せられるべきものが、「4000万円」などという法的根拠のない数字で線引きされ、同じことをしても逮捕起訴されるもの、されないものが何故出るのか」という不公平感である。
国民が感じているこの「不公平感」を無視して、自民党内の勢力争いのために、そして現実にこの「不公平感」に対して真摯に対応しようとすると「自民党」あるいは国会そのものの機能不全を来すため、「派閥政治」の問題にすり替えようと汲々としていることが国民の目には明らかであるから、「政治刷新本部」に期待はできない、ということになってしまうのである。
多分、自民党もそのことは理解したうえで、無意味な議論をやっているんだろうと思う。「やってます」感を出すために。
読売新聞の記事本文中でも、「派閥の解体だけでは不十分」という記載があった。今回の「キックバック問題は「派閥単位」で行われたのは事実であるが、本質は政治資金の「不透明さ」であって、派閥の有無とは関係のない話である。マスコミ側が、本質を見誤ってどうするのだ、とがっくりしてしまう。いや、あるいはわざわざそのように書いて「派閥の解体」というところが「問題である」というように国民を誘導しているのかもしれないが。
日本の政治の一番残念なところは、こんなグダグダな自民党であっても、「政権」を担うことができる政党が「ここしかない」ということだと思っている。
立憲民主党や共産党は言わずもがな、である。国民民主党はまだ現実を見て政治を動かせそうかもしれないが、党勢が現時点で貧弱なため、議員数を急速に増やしていくと、「資質のない政治家」がどんどん入り込んでしまい、やはりグダグダになってしまうかもしれない。日本維新の会、その源流である「大阪維新の会」、もともとは自民党大阪府議連のメンバーであり、結局は自民党政治と大きく変わらないだろう。特に最近は、地方議員の不祥事も多く、大阪を考えても「万博の問題」や、忘れている人も多いかもしれないが、「COVID-19ホテル療養中のお弁当問題」など、黒いところはたくさんあるわけである。現在の「小選挙区比例代表並立制」では、かつて中選挙区制で「公明党」が野党であったころのように「是々非々」で進むべき道を選ぶ「casting vote」には戻れないだろうし、現状からさらに支持率が延びるか、と言えば厳しいところだろうと思う。その他の党派も「いかがなものか」と思わざるを得ない。
政治の貧困、政治家の資質の貧困、社会システムの硬直化、如何ともしがたいなぁ、と頭を悩ませる限りである。国会の中で、「与党連合」と「野党連合」の議員数が拮抗するような事態になれば、もう少し自民党もピリッとしてくれるかもしれないが。
立憲民主党については、高市大臣の「総務大臣時代」の内部文書騒動で、かえって「馬脚を現した」というのが正しい表現ではないかと思う。仏典の一つである「観音経」(妙法蓮華経 観世音菩薩普門品 第二十五)に「還著於本人」という御文がある。観音菩薩の教え、法華経の教えを守っている人に悪だくみや呪詛をかけても、この経の功徳で、かえってそれが悪だくみをしたり呪詛をかけた人にそっくりそのまま返っていく、という意味である。高市氏が特定の宗教を信仰している、とは聞いたことがないが、あの時の立憲民主党は、まさしく「還著於本人」の通りだったように思えた。私の中ではあの騒動以降、野田元首相を除いて、立憲民主党への信頼感は地に堕ちたままである。
共産党も「党首公募制」を提案した古参の党員を「分派活動」として除名処分にした時点で、語るに値しない。
単なる私の政治に関する「ぼやき」になってしまったが、実に困ったものである。
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