第744話 ふつうなら、トップの首が飛ぶはずなのだが。

自民党のいわゆる「政治資金収支報告書不記載、パーティー券売り上げキックバック問題」、岸田派の会計責任者も立件されたようである。問題が起き次第、さっさと派閥会長を辞めた岸田首相は、「記載上のミス」と繰り返しているようだが、変な話である。


一般企業で、社会を賑わすような不祥事が起きた場合には、その人だけでなく、その会社のトップが謝罪したり、辞任したり、あるいは「トップであること」を理由に訴追されたりすることも珍しくない。


例を挙げるなら、JR西日本の「福知山線脱線事故」。起こったことは、一人の運転手が諸般の事情によりオーバースピードでカーブに突っ込み、ひどい脱線事故を起こした、という事である。しかし、その「起きたこと」だけでなく、その背後にある「社風」や「社員教育」の問題、そして、当該線区に当時設置が進められていた安全システムが非導入だったことの責任を問われ、当時の社長などが起訴されたと記憶している。


莫大な路線を抱えるJR西日本の社長が、一つの非幹線路線の安全設備の設置状況を把握する、なんてことは非現実的なことであるが、「会社のトップ」という事で法廷に立つこととなったわけである。


この政治資金の問題、JR西日本と比べればはるかに小さい組織で、当然会長は会計責任者からの報告を受け、会計責任者に指示を出していたであろうことは想像に難くない。仮に会計責任者が「勝手に」していたことであれば、それはそれで「監督不行き届き」としてトップが罰せられるべきものであろう。


何が「政治刷新本部」なのだろうか?今回のことの解決策は明確で、「不明確」となっているお金の流れを明らかにすること、今後、制度を改革し、政治資金の透明化を図ること、法的に問題のある人については、その人の立場にかかわらず、司法の手にゆだねること、これだけである。「派閥の解散」なんて本質とは全く関係のないことである。そんな枝葉末節のことでワイワイやっているのが「政治刷新本部」の姿、だとすれば言葉にもならない。いろいろな国で、末端の役人たちへの「賄賂」が当たり前となっているが、日本も中枢部はそれと変わらない。堕落した姿である。


ついさっき、ネットで見たばかりでソースは忘れてしまったが、「次の総理大臣は誰が適切か」という市民へのアンケートで圧倒的多数で一位を取った答えが「いない」だった。国民はうんざりしているのである。


「岸田派」の解散も視野に入れている、と岸田氏は述べているが、そういう事ではなく、「自民党総裁」として、「おかしな議論をしている」政治刷新本部の「議論の正常化」を図ったりするべきではなかろうか?一般企業なら、経営陣総組み換えである。


リクルート問題の時には若手議員として石破氏などが政治の刷新に声を挙げていたそうだが、今の自民党内では、そのような若手議員の声も聞こえてこない。


もう何というべきか…、言葉が見つからない。


古代の中国や日本では、「天変地異は天子(為政者)の乱れ」と言われてきた。もちろんこの言葉に明確な科学的根拠はないが、現在の政治のグダグダっぷりと、様々な気象災害を考えると、この古代の言葉、あながちでたらめとも思えないように感じている。

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