第742話 さらに論点をずらしてくるか…。

昨年の11月に報道され、事態が発覚した「パーティーの収入を政治資金収支報告書に適切に記載していなかった」問題、自民党内で「政治刷新本部」が作られたが、これまたおかしな方向に話が進んでいる。


今朝の新聞だったか、昨日の新聞だったか、初回の「政治刷新本部」の会議が行われたそうだが、議論の中心になったのは「安部派を解体するかどうか」という事だったそうだ。


もう、ガックリ。何をか言わんや、である。腹立たしいこと、この上ない。


始まりは、「自民党の5派閥で、政治家の行なうパーティーでの収入が適切に政治資金収支報告書に記載されていない」という事だったはずである。繰り返すが、「5派閥」である。お金の出入りは当然税金も絡んでくるので、「故意に」政治資金収支報告書に記載していないとなれば、極めて問題であろう。刑法上の犯罪となるかどうかは専門家ではないのでわかりかねるが、「不正」であるのは間違いなかろう。政権与党として、5つの派閥がそのようなことをしていた、という点で、日本の政治における深刻な問題である。何十人もの国会議員が「そのようなことをした」わけである。岸田首相は、この問題が出た直後に、自身の派閥を離脱している有様である。首相自らが、なんて責任感のないことであろうか。岸田氏が離脱した「岸田派」。なんじゃそりゃ、である。


ところが、いつの間にか、「二階派」と「安部派」に話がいつの間にか矮小化されてしまった。これでも、二階氏の政治資金収支報告書で、項目欄に「クレジットカード支払い」としか書かれていない項目がたくさんあったことが報道され、少し話題になったものの、さらに「安部派」の中の話だけが報道され続けた。そのことに対しては、私はどこかで「問題を矮小化している」と書いたように記憶しているのだが。マスコミも政権に対して忖度したのだろうか?仮にそうなら、ジャーナリズムの「自殺行為」だと思うのだが…。


今回の問題は、「政治とカネ」の問題としては、以前のロッキード事件やリクルート事件とは比べ物にならないほどの大きな問題だと私は思っている。第二次世界大戦後、初の内閣となった東久邇宮内閣では、「一億総懺悔」との言葉を使ったが、今回のことでは「自民党総懺悔」すべきことだと思っている。


ところがである。この問題に対応するために作られた「政治刷新本部」の初会合では、自分たちの振り返りも反省もなく、「安部派」をスケープゴートにして事態を鎮静化させよう、という動きが見え見えであった。事態はさらに矮小化され、本質から外れて行ってしまっている。一番の問題は「数多くの議員が「政治資金収支報告書」への記載を『故意に』行わなかったこと」であり、それに対して、「党」としてどのように責任を取り、過ちを正していくか、という事を議論するべきものではないのだろうか?「安部派の解体」云々は枝葉末節、本質から考えればどうでもいいことである。


同じ政権与党を担っている公明党は、何をしているのだろうか?黙りこくったままではないか?


マスコミも、事態が矮小化されていることに対して「批判の声」をあげないのか?


検察庁にも、国税局にも失望した。特に検察庁。このような「作為」を持った違法行為を追及はしないのか?結局「共謀の証拠を得られず」という名目で撤退してしまったわけである。庶民の眼からすれば「何じゃそりゃ?」と言いたくもなる。国税局も「政治資金は非課税」だからという理由でしらばっくれていいのだろうか?一般企業であれば、決算に問題があれば厳しく突っ込んでくるだろう。「政治資金収支報告書の記載を間違えていたので、訂正しま~す」でお終いかいな。なんだそれは。


共産主義国家では、「共産党員」は「特権階級」だが、国民はすべて平等であるはずのわが国でも、「特権階級」の人がいた、という事が明らかになったわけだ。


自民党にとって代われる政党があるか、と言えば心もとないのが、さらに厳しいところであるが、政治については行き詰まり感がものすごい。


広島県安芸高田市の市長、石丸信二氏が、だらしのない、深刻な問題を抱えた議会に対して、「恥を知れ!・・・と言われても仕方がない」と喝を入れていたが、衆議院議会に氏を呼んで、「恥を知れ!」と叱咤していただきたいほどである。


本当にガックリである。

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