第737話 なんか変だな?
外来診療をしていると、感染性疾患の動向を肌で感じることができる。数日前、COVID-19の新たな亜系が流行の兆し、と新聞で読んだ。今週の外来は、先週とは異なり、インフルエンザの患者さんが減少した一方で、一時はほとんど見なかったCOVID-19の患者さんが明らかに増えてきた。発熱性のいわゆる「風邪症候群」の流行は続くと思われるが、COVID-19がインフルエンザにとって代わってきているような印象である。
その一方で、当院の病棟では不思議なことが起きている。年明け早々に「2階病棟でインフルエンザのクラスターが起きています」と引継ぎを受けたが、実際に2週間近く経っても、クラスターの収まる気配がない。
インフルエンザ患者さんの発生した部屋の同室者には、本人の拒否がなければオセルタミビルの予防投薬をしてもらっているのだが、予防投薬している患者さんが発熱し、迅速抗原検査で陽性、となる現象もみられている。
インフルエンザは原則、飛沫感染で、再生産数も1~2程度とCOVID-19のような感染力はない。飛沫が届かないようにカーテンなどで隔離、ベッドの隙間を開けて、マスクをつけることができる方(認知症のひどい人はすぐ外すので無理)はマスクを着けてもらうこと、予防投薬を開始することで、これまではすんなり落ち着くことが多かったのだが、今回は予防投薬を受け、マスクを着けている方からも新規発症者が出ているのである。
日本の感染症研究所で、流行中のインフルエンザ株について薬剤耐性を確認したが、いずれの抗ウイルス薬に対しても、耐性株は検出されていない、とのことである。
感染拡大の予防対策のどこかに穴があるのか、ウイルスの問題なのか、どちらなのだろうか?
いずれにせよ、COVID-19流行時と同じように、病棟は「えらいこっちゃ」状態である。どうしたものだか・・。
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