第632話 「ドラえもん」に思うあれこれ

前話で、「ドラえもん」の話が出たので、すこし「ドラえもん」のことを思い出していた。


私が小学校に入学したのは、年齢から推測するに、1978年だと思う。ドラえもん連載から丸八年、ちょうど藤子不二雄氏の仕事も「乗りに乗っている」時期だったのでは、と思っている。


それまで、マンガを読む習慣はなかったのだが、小学館の「小学□年生」は毎月買ってもらっていて、連載されていたドラえもんも楽しみにしていた。何がきっかけだか忘れたが、時々祖父母が、何冊か単行本を買ってくれるようになった(おじいちゃん、おばあちゃん、本当にありがとう)。


極めてもったいないことに、全巻手放してしまったので、おそらく、その中には「初版本」も何冊もあったのではないか、と思ったりしている。今となっては「値打ちもの」となっているのかもしれないが、そんなこと、家族のだれも考えもしなかった。


また、時々、雑誌の方に特別付録として「ドラえもんの秘密」というような別冊がついていることもあった。ここからは純粋に私の記憶を基にした話になるので、間違いなどはご容赦いただきたい。また、私は読んだことがないのだが、「漫画や特撮もの」などを現代科学で解釈する「空想科学読本」という柳田理科男氏の著作も有名である。もし下記の内容で、氏の著作と重なるものがあれば、大変申し訳ない。先に言い訳をしておくが、「盗作」ではなく、たまたま「内容が被った」とご理解いただきたい。同様の記載があれば、指摘していただければ、削除させていただくこととする。


前話でも書いたように、ドラえもんは身長129.3cm、体重 129.3kgと、ロボットであることを考慮しなければならないが、非常に重い。ドラえもんの頭も身体も丸いので、どこをどう測ったのかは不明であるが、頭囲も胸囲も129.3cmだったと記憶している。ただ、体形を考えると、明らかに腹囲>胸囲なので、腹囲が129.3cmだったのかもしれない。


身長はさておき、体重 129.3kgはかなり重い。ドラえもんの連載が1970年1月号から始まっている、と考えると、野比家もおそらく木造建築だろう。階段などはそれなりの強度があるだろうが、廊下であったり、少なくとも押し入れの段は、130kgの重さに耐えられるものなのだろうか?と気にならないでもない。畳はへこみが激しそうにも思ったりするのだが。


「ドラえもんの秘密」では、ドラえもんが靴を履かないのは、「常にドラえもんの足は、地面から数mm離れているから」という理由だったと記憶している。その時は単純な小学生だった私。単純に「すげーっ!」と思っただけであったが、今考えると、とても不自然で困ったことである。


まず、どうやって数mm浮き上がっているのか、という問題がある。電磁気力で浮き上がろうとするなら、土そのものが基本的には「導体」なので無理がある。空気圧で浮き上がるなら、それはそれで周囲が大迷惑である。とてもしずかちゃんのそばには近寄れないはずである。


まぁ、それは「マンガだから」と許容したとして、地面と接触していないと、「摩擦力」が発生しないため、「歩こう」と思っても「歩けず」、質量が大きいので、いったん動き出せば「止まろう」としても「止まれない」。冬の朝に、氷の上で転倒する人のような状態である。坂があれば登れない。下り坂なら止まれない。毎日体中ケガだらけである。あっ、ドラえもんはロボットだから、ケガをしてもあまり困らないか?


子どもの頃に読んだ「ドラえもんの秘密」では、大好物のどら焼きなど、食べたものは「原子炉」でエネルギーに変える、と書いていた。動力源が「原子炉」という点では鉄腕アトムとよく似ている。鉄腕アトムが「人間の食事」からエネルギーを得ていたかどうかは不勉強のため知らないが、ドラえもんは明らかに食べ物をエネルギー源にしている。とはいえ、作中で時々「電池切れ」状態にもなっていたので、原子炉で発電し、電気エネルギーで動いていたのであろうか?


人間の食べ物は、原子としては、炭素、窒素、水素、酸素で構成されているので、おそらく原子炉は「核融合炉」だろう(核分裂でエネルギーを得るには、原子が小さすぎる)。普通の「核融合」では、「鉄原子」が一つのゴールとなる、ということを聞いたことがある。それ以上の重さの原子は、単純な核融合反応ではなく、原子同士が高エネルギーで衝突することで生成する、と聞いたことがある。


単純にドラえもんが搭載している原子炉では、最終産物が「鉄原子」とするなら、生成された「鉄原子」はどのように処理をしているのだろうか?それに、普段食べている量の食事をすべて核融合反応に使ってしまえば、発生するエネルギーは莫大な量になるはずである。現実世界では、核分裂反応で動いている原子力潜水艦、核燃料は数kgだが、それで燃料交換なく、原子力潜水艦の寿命までエネルギーを得ることができるわけである。そう考えると、ドラえもん、エネルギーの塊である。発生させたエネルギーの大部分は「熱エネルギー」となって逃げていくはずなので、ドラえもんがいたら暑くてしょうがない。というか、海に沈めて冷やしでもしなければ、たいへんなことになってしまう。


まぁ、これも、「マンガだから」ということで、いいことにしよう。


子どものころから不思議だったことの一つに、「ドラえもん」や「おばQ」は、どうやって「家族」に溶け込んでいったのだろう。どちらも、よく考えれば全く訳の分からない存在なのに、自然に家族になっている。お化けのQちゃんなんて、バカみたいにごはんをたべるので、Qちゃんを家族にすると、食費がいくらあっても足りない。パパ、ママは必死に働かなければならないはずである。「キテレツ大百科」のコロ助はキテレツが作ったロボットなので、「自分が作ったロボットだ」と言えば、家族扱いもむべなるかな、とは思うのだが、不思議なものである。まぁ、これも「マンガだから」と言えばいいか。


と、発想としては「空想科学読本」の2番煎じみたいな文章になってしまった。


ただ、ドラえもんは子供のころから、漫画でもアニメでも、おばけのQちゃんはアニメで、キテレツ大百科はマンガとアニメで、どれも楽しませてもらった。二人の藤子不二雄先生に改めて感謝したい。

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