第609話 「時代は変わる」が響かない

以前にも書いたが、最近、ブルース・ハープの練習をある程度真面目に行なっている。YouTubeはありがたく、以前は「本」を購入して練習していたものが、今では(広告付きだが)無料で、動画がアップされており、演奏のポイントなどが容易に学べるようになっている。


しばらく前の文章で、「ジョン・レノンは本当にC調のMarineBand(ドイツのHonor社が作る、有名なブルース・ハープ)で、デビュー曲の“Love Me Do”を吹いたのか?」と書いたが、YouTubeでは、C調のブルース・ハープで見事に演奏しており、私の疑問は「単純に」私の勉強不足、という事だったと反省した。


という事で、低音~中高音域のベンド奏法を練習し、少し表現の幅が広がったように「勝手に」思っている。低音域のブルース・ハープ(10Holes Harp)では音階が「ドレミソソシド」となっているが、ベンド奏法で、「ドレミファソラシド」を吹けるようになった。高音域は、「ドレミファソラド」となっており、一番高い「ド」の音を、半音落として「シ」の音を出すのだが、ここはまだ不安定である。


それはさておき、ギターをひいて、ハーモニカを吹いて、というスタイルなら、日本の歌手では、古くは吉田拓郎、長渕剛、もう少し若くなって山崎まさよしあたりになるのだが、私がブルースハープを触りだしたときは、彼らの曲ではなく、“Bob Dylan”の曲を歌っていた。


余談だが、Bob Dylanがノーベル文学賞を授与されたが、それは多分に「初期」の曲の影響が大きいのではないか、と考えている(個人的に)。というわけでもないが、やはり曲としては初期の曲を練習することが多い。


彼の初期の曲の中で、「時代は変わる(“The Time They Are A-Changin’”)という曲がある。初めて聞いたのは、Simon&GurfunkelのFirst Album ”Wednesday Morning、, 3.A.M“でカバーされた曲だった。確か1980年代の終わりのころだったと思う。なのでこの曲が生まれてから、約30年ほどか?


原曲を聞いて、歌詞を読んでも、その時代の「熱」はまだ残っていて、ちょうど旧ソ連崩壊など、一つの時代の転換期だったこともあり、その歌詞のメッセージに感銘を受けたことを覚えている。


あれからさらに30年以上が経ち、1960年代という時代の持つ「熱」はなぜかすっかり冷めたような思いがして、この曲を歌っても、あまり心が躍らなくなっていたことに自分で驚いた。同時期の「風に吹かれて”Blowin’ in the Wind”」が今も変わらず輝いていることに比べて、その落差に驚いた。


今も確かに「時代は変わっていってる」のだが、この曲ができた当時の「能動的に時代を変えていく」という雰囲気ではなく、受動的に変わっていってる、という雰囲気が時代を彩っているせいなのだろうか?


久々に曲を歌い、ハーモニカを吹いて、あまりの時代の雰囲気のずれに愕然としてしまった次第である。あくまで個人的な感想である。

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