第594話 あえて「オオカミ少年」を装ってるのかな?

今朝の朝刊、第一面の見出しが「北 「衛星」再び失敗」だった。北朝鮮が周囲の国に「この期間内に人工衛星をあげるよ~」とアナウンスして、その期間に人工衛星(と思しきもの)を打ち上げる。これまでに何度かあったことである。


「ミサイル発射実験」では、かなりの精度でミサイルをコントロールできるようになっている。数日前の朝刊だったか?ミサイル軌道は「8の字」を書くなど、予測不可能且つ、高度にコントロールされた軌道を描くようになって来た、と報道されていた。


前回同様、今回も「軍事衛星打ち上げ失敗」だったようである。北朝鮮の通信社である「朝鮮中央通信」が「人工衛星打ち上げ失敗」をニュースで報道していたそうである。


一段目、二段目のロケットは正常に機能したが、3段目のロケットが飛行中に非常爆発システムが「誤作動」した、と報道されていたらしい。


変なことだらけである。一つは、朝鮮中央通信が打ち上げ「失敗」のニュースを、しかも細かく報道していること。


プロパガンダの報道社であるから、「労働党」や「国家」の失敗を報道すること自体が不自然なのである。「金日成」、「金正日」、「金正恩」と、この血統は「天才」で「無謬」であると普段から宣伝しているわけだ。「無謬の天才」が「失敗」などするわけがない、というのがかの国の理論であり、信念である。

 

「人工衛星打ち上げ」は当然ながら「国家的プロジェクト」のはずである。なので本来なら「失敗」は「隠蔽」されなければ不自然である。「失敗」を明らかにするのであれば、当然「プロジェクトリーダー」は「国民の貴重な財産」を使って作成したロケットを無意味に破壊した、として「粛清」されるだろう。かの国では、些細なことで、ことあるごとに「粛清」が行なわれてきたではないか。


そして二つ目は、「うまくミサイルを飛ばすことができるようになった」国が「毎回」人工衛星打ち上げに失敗するか?ということである。もちろん、人工衛星を打ち上げるにはミサイル以上の技術が必要であることは否めないが、おそらく「ミサイル発射実験」では、思うような成果を出している国が、こう何度も「人工衛星打ち上げ」に失敗するとは考えにくいように思われる。


私が一番懸念しているのは、「オオカミ少年」のように毎回、「人工衛星を打ち上げるぞ」といってはわざと失敗することを繰り返し、危機感の薄れたところへ、「人工衛星」のふりをした「核ミサイル」が撃ち込まれるのではないか、ということである。


日本のお金が非合法的にかの国へ流れている一方で、かの国の(仮想)敵国は、おそらくアメリカではなく、日本なのだろうと思っている。


数年前にテレビニュースで見た街頭インタビュー、韓国の若者に「北朝鮮が戦争を始め、日本を攻撃したらどうしますか?」の質問に「私たちも武器をもって日本と戦います」と答えた若者がいることを、私は今でも覚えている。


誤解のないようにしていただきたいが、「私は今でも覚えている」というのは「ヘイト」の意図で使っているわけではないということをご理解いただきたい。「国家」対「国家」という軸では長い歴史の積み重ねと、特に近代の歴史の中でお互いの「国家」としての関係がいろいろ不自然になったこと、その不自然さが今もそれぞれの国に影を落としていることは事実であり、大変悲しいことであると思っている。「国家」対「国家」という大きな対立を超えていくには「人」対「人」としての信頼感をつなげていくことが大切だと思っている。


子どものころ、祖父母の家の隣で親しくさせてもらった朝鮮の名前を名乗っていたあの家族、誇りをもって自国の名前を名乗っていた高校や大学の学友、大学で親しくしていた韓国から留学してきた同級生や先輩。そして、苗字から類推するにおそらく曾祖父母、あるいはその上の世代が「創氏改名」を押し付けられたのであろう友人たち、それぞれに愛しい人たちである。「国家」対「国家」では対立関係であっても、「人」対「人」の信頼関係は成立すること、その信頼関係の積み重ねが「国家」対「国家」の信頼関係を生み出すであろうことを信じている。John Lennonの”Imagine”の歌詞を引用させてもらうが、


”You may say I’m a dreamer. But I’m not the only one.

I hope someday you’ll join us. And the world will be as one.”


と思っている。

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