2023年 8月
第563話 あれぇ?「共産主義」って何だったっけ??
いつものごとく、いつもの通り、私は車に乗っているときにはNHK総合ラジオを聴いていることがほとんどである。仕事の日はAM6:30頃に家を出て、7:00まえに職場に就く。車の中ではラジオ体操と、ラジオ「My!あさ」のコーナー「ワールドリポート」を聞いていることがほとんどである。
8/2の「ワールドリポート」では、中国の若者を取り巻く労働環境について取り上げられていた。
COVID-19の影響や、不動産産業の低迷などによって中国経済にもブレーキがかかっており、「若者の失業」問題が深刻、だそうだ。16歳から25歳までの年齢層の失業率は20%を超えており、5人に1人が失業している、とのことである。私の世代がドハマりした、1993年からの「就職氷河期」では、日本での同世代の失業率は10%程度だったとのこと。それでも私の周囲を見回すと、「大企業への就職」を果たした友人たちはほんのわずかで、不本意な就職先しかなく、「大学院に進学する」と進路変更をした友人や、非正規雇用で働く友人が圧倒的に多く、その2,3年前まで続いたバブル景気の時代と比較すると暗惨たる思いだったことを覚えている。
なので、その2倍の失業率、となると想像もつかない。
ラジオでは、若者の一人を例に挙げ、現状を伝えていた。曰く、月数万元の保育士の仕事をしていたが、昇給の見込みはなく、この仕事を続けていても将来に希望が持てない、という事で保育士の仕事を辞め、現在求職中、とのことだった。
日本と同様に中国でも少子高齢化の波が、特に一人っ子政策の反動で急速に進むため、若者の労働者は「人手不足」の状態らしい。ただ、「安い給料」の仕事が多く、そのような仕事では「将来の展望が描けない」という事で、そのような仕事には人が集まらないそうだ。つまり、「収入」を考えなければ仕事はあるが、「ある程度の収入」を期待できる仕事は過当競争となっている、という事だった。企業側も、中国の景気減速を見込んで、そのような高収入の仕事は募集を控えているとのことだった。
まるでどこかで聞いたような話だが、たしか「共産主義」では、そのような「貧富の差」がなく、生産したものを皆で分かち合って、「将来の不安」のないような社会を目指していくものではなかったか??
中国の労働市場の抱える問題、若者の失業率、若者からの「将来への不安」という言葉、特に「将来への不安」という言葉は「共産主義国家」では「存在しないはず」ではなかったのだろうか?
という点で、経済的視点から見ると、明らかに中国は資本主義経済が跋扈している状態であり、時々「政治的問題」のある大企業や「社会的影響力のある」大企業が「共産党」から叩かれる、という形になっている。
「共産主義」が「経済的問題に対するアプローチ」としての「政策理念」であるにもかかわらず、経済的には「資本主義社会」と同様の問題を抱えている社会において、共産主義を指導していく立場である「共産党」の存在意義は何なのだろうか?
半年ほど前に、日本共産党内で、現在の志位体制を批判し、党首の公選制を主張した党員を「分派活動」という名目で除名としたことと同様に、中国での「共産党」の立場も「プロレタリアートを守る共産主義」を指導していく、という建前すらどこかに消えて、「合法的専制政治」の機関となってしまっているのではないか、と思わざるを得ない。
「共産主義国家」から「将来への不安」の声が出てくる、非常に大きなものになっている現状、というのはある種のコメディであり、日本共産党を始め、「暴力的革命」を辞さないと明言している共産主義者は、この現実を直視し、自分たちの活動を考えるべきではなかろうか、と思わざるを得ない。
いや、本当に「中国の若者」たちが、金銭的視点で「将来への不安」を強く感じている、ということそのものが、悲喜劇であろうと思う次第である。
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