第560話 私の子供はあなたの子供でもある。

福原 愛氏と江 宏傑氏の間で、お二人の長男のことで深刻な問題が持ち上がっている、との報道があった。お二人が離婚後、二人の間のお子さんはお二人の共同親権ということで合意がなされており、お子さんは二人とも台湾で過ごされていたそうである。昨年7月に面会交流のため、江氏が福原氏に長男を引き渡した後、福原氏、長男と連絡が取れなくなり、約束の面会交流期間を過ぎても長男を江氏に戻さない状態が1年以上続いている、とのことである。


このことは台湾でも、日本でも司法の場で争われているようであり、東京地裁は令和5年7月20日に、福原氏に対して、子の引き渡しを命じる審判が出されたようだ。それに対して福原氏が何の動きも見せないことに対して、江氏が日本で記者会見を開き、「子供を返してほしい」と訴えた。


これに対して福原氏側の弁護士は、「江氏の会見は一方的で、子供を守る配慮に欠けている。日本の司法の手続きは未確定である」と反論している。


福原氏は、いくつもの要職についているとのことだが、それゆえに、この問題は非常に残念だと思われる。


本質的には、福原氏の「ルール違反」が一番の問題であり、いくら言葉を尽くそうとも、その「ルール違反」を容認できないだろう。


「ハーグ条約」を持ち出すまでもなく、「私にとって大切な子供は、相手にとっても大切な子供」である。そのための共同親権であったはずであり、江氏も福原氏が約束を履行してくれるとの信頼をもって、子供の「母親の元でも過ごすことができる」権利を守るために、約束の期間、日本にいる母のもとに引き渡したわけであろう。


私個人としては、福原氏の行ないは筋が通らないと思っている。決められた約束は守るべきだろう。福原氏側の弁護士が声明を出しているが、声明では、「子どもの仮の引き渡しは、お子さんの状態、意思、福祉、最善の利益を考慮して慎重に行わなければならないものです。」とあるが、まず、「仮の引き渡し」ということがおかしいだろう。本来は当初の約束通りの時期に江氏に長男を渡さなければならなかったはずである。そもそもルール通りに面会を続けていれば、このように報道されることもなかったわけであろう。


繰り返しになるが、「私の大切な子供は、私が不快に思っている元パートナーにとっても、大切な子供である」、ということである。相手が暴力を振るうなどの虐待をしたり、相手方の生活が破綻している、などの状況であっても、その一点については忘れてはならないと思う。そのうえで、自分の子供を守るために、あらゆる法的手段を考えるべきであろう。


世の中の多くのシングルマザーとは異なり、福原氏は、社会的地位の高いとされる役職を複数兼任しており、金銭的に困窮しているわけではなかろう。であればなおさら、守るべきルールは守るべきだろう。


長男はまだ小さい子供だと報道されていた。父親の顔を忘れたり、語っていた言葉を失わないうちに、問題が解決すればよいのだが、と心より願っている。夫婦は別れても、父親も母親も、自分に対して正当に接してくれていれば、どちらに対しても愛情を持つだろう。長男氏が「お母さんも好き。お父さんも好き」といつまでも思えるように、「大人」の対応をしてほしいと思う次第である。

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