第559話 流行に乗ってるね~!

我が家の次男君。1か月ほど前に、流行に乗ってCOVID-19に罹患した。これは感染経路は不明だったが、おそらく学校、あるいは通学の列車で感染したのだろう。不織布マスクをしていても、感染するときは感染するのでしょうがない。


「熱が出て、鼻水が出る。しんどい」というので自宅にストックしてあったCOVID-19検査キットで検査すると、見事に陽性が出た。健康で基礎疾患のない人間に感染した「軽症」のCOVID-19である。発熱については自宅ストックのアセトアミノフェンで当座をしのぎ、仕事終わりに市販のタイレノールを買って対応した。咳はほとんどなく、咽頭痛も市販のトローチ、ということで病院を受診せずに済ませた。受診しても、結局検査をして対症療法薬を出すだけである。受診させる方が苦労である、と判断してのことであった。公共交通機関を使うのも憚られ、自家用車、と言っても私が通勤に使っているので、彼が受診したい時に車は自宅にはおいていない、ということも理由である。


まだ、夏の本格的暑さが来る前であったので、次男君を和室に閉じ込め、同じ部屋に寝ていた長男君はリビングで寝てもらうことにした。次男君の学校に連絡し、COVID-19であること、自宅療養期間はいついつまで、と担任の先生に報告した。担任の先生からは、


「どこか医療機関に受診されましたか?」と聞かれたので、「いえ、自宅で診断、自宅で療養としています」と報告した。残念なことに、翌日学校メールで全生徒と保護者に対して、「COVID-19が疑われる、あるいは自宅で検査が陽性となった場合は必ず医療機関への受診をお願いします」と回ってきた。多分私が「病院には行っていない」と伝えたことが、その一斉メールの一因となったのは間違いないだろうと思った。市販のキットと市販薬で済ませて、軽症の場合は受診をしない、ということを厚生労働省はCOVID-19による医療崩壊防止のため推奨していたように記憶していたのだが、学校からこのようなアナウンスが来ると心苦しい。まぁ、メールを見ても「何をいまさら」とも思ったので、特に受診はせず、本人も症状が消失したので、5日間の療養期間を経て通学を再開とした。


先週末だったか、学校帰りのはずの次男君から家族で作っているLINEグループにメッセージが届いた。曰く「体調が悪いので、帰りはバスを使っていいか?」とのこと。次男君は駅まで徒歩で往復しているのだが、駅からの帰宅時は、軽い山登りになるので、確かにしんどい。私が電車で通勤していた時も、出勤は山を下るので、徒歩で、帰宅時は山登りがしんどいので、バスの回数券を買って、バスを使って帰ってきていた。


彼のメッセージに「かまへんよ。体調大丈夫?」と返信。仕事を終えて自宅にちょうど着いたときに彼から、「やっぱり無理。駅まで迎えに来てほしい」と再度メッセージが。妻も心配して二人で車で駅に向かう。待ち合わせの場所で少しすれ違いはあったものの、何とか次男君と、彼を迎えに行った妻を乗せて帰宅した。


「熱っぽい。のどが痛い。しんどい」と言っていた次男君。帰宅時は37度前半の体温だったが、速やかに39度台の発熱となった。彼曰く、「クラブの友人が、昨日『のどが痛い』といって、今日は40度の発熱で休んでいる」とのことだった。その友人に次男君が連絡を取ると、「友人、インフルエンザだった」とのことだった。なら、次男君もインフルエンザの可能性が高そうだ。


翌日、COVID-19陰性を確認し、私が出勤。インフルエンザであろうとCOVID-19であろうと、私の職場では「発熱外来」扱いになり、しかも発熱外来の枠は限られている。ということで、ちょっと職権を乱用し、発熱外来の一枠を次男君に割り当ててもらった。


インフルエンザであれば、不織布マスクとしっかりした手指消毒で感染予防は十分可能である。出勤時妻には、「発熱外来の枠をお願いしておくけど、電話で当日予約というルールで運用しているので、発熱外来予約開始の時間になれば、病院に電話して」と申し送っていた。事務部のスタッフも気を利かせてくださり、一番早い枠を確保してくださっていたようである。大急ぎで妻はタクシーを呼び、当院に受診。外来の看護師さんには「うちの息子が発熱外来に来るので、もし来たら、COVID-19だけでなく、インフルエンザの抗原検査もお願いします」と依頼しておいた。


そろそろ時間かなぁ、というころに看護師さんが、「先生、A型インフルエンザでしたよ」と、次男君の結果を持ってきてくださった。検査室から結果を印字した紙が届き次第、発熱外来に向かい、結果報告。


「はい、インフルエンザA型でした。抗ウイルス薬と対症療法薬出しておくので、所定の期間が過ぎるまでは『夏休みの講習』は出席停止。家でおとなしくね」


と伝えて、診察終了。


週末は熱でへばっていた次男君だったが、今はほぼ復活状態である。


高校生なので、「ヘルパンギーナ」ということはなかろうと思ってはいたが、COVID-19といい、A型インフルエンザといい、やはり流行っているのだなぁ、と実感している。

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