第553話 蝉時雨

セミが鳴き始めると、「あぁ、梅雨も終わったなぁ」と感じる。私の周りでセミが鳴き始めたは10日ほど前だったか?土曜日の外来中に隣のお寺の庭からだろう。蝉の声が聞こえてきた。一緒に外来をしている外来クラークさんに「あっ!蝉ですね」と声をかけてしまった。


今年の梅雨はひどいもので、九州や秋田に大きな被害をもたらした。「線状降水帯」という言葉、つい2,3年前に耳にした、なんて思っていたら、この梅雨はあちこちで「線状降水帯」という言葉が飛び交っていた。それだけ起きる頻度が上がっているのだろう。


長男曰く、「この数年、『数十年に一度の豪雨』という言葉、毎年聞いている」とのこと。確かにそう思う。


閑話休題。昨年もこのころ、蝉の話題を書いたなぁ、とおもいだす。蝉は英語で”cicada”(カタカナで発音を書くと「シケイダ(ケにアクセント)」となる。そんなわけで、日本人は虫の音で季節を感じるが、欧米人にはそのような感覚はないので、蝉時雨は耐え難い雑音だろう。まるで「死刑だ(”cicada”とかけてみた)」、なんて文章を書いたことを覚えている。


夏の終わりには、「ツクツクボウシ」が鳴いていたのだが、この数年、ツクツクボウシを聞かなくなった。ネットニュースを見ていると、私が10代後半~20代前半だった1980年代後半~1990年代前半の夏の平均気温が取り上げられており、明らかに夏は暑くなっている。1~2度の平均気温の動きで、植生や生物種の分布が大きく変わることが知られているが、もう今の日本の夏は、私が子供のころの夏とは違うものになっているのだろうか。


そんなことを、蝉しぐれの中で思ったりしている。

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