第514話 やはり声、嗄れている?

毎週楽しみにしている「笑点」。今週も楽しく見せてもらったが、一つ気になることがあった。林家 木久扇師匠の声である。


木久扇師匠は以前、喉頭がんで治療を受け、復帰されたと記憶している。その時の自覚症状も、「嗄声」であったと聞いている。喉頭がんは、病勢が進行していれば、喉頭全摘術を受けることになり、声を失うことになる。しかし、木久扇師匠は復帰時、少し嗄声(嗄れた声)は目立ったが、声を失うことなく復帰された。ということは、仮に外科的アプローチをしたなら切除範囲は病変部位のみだろうし、喉頭癌は放射線の効きやすい「扁平上皮癌」なので、放射線治療を受けられたのかもしれない。いずれにせよ、悪性細胞が「細胞」のレベルで「完全に」消失した、ということは言いづらいわけである。


さらに言うならば、食道がんや咽頭癌、喉頭癌などはその要因として、飲酒、喫煙などの環境的要因が大きい。なので、これらのがんが1か所できたとすれば、のど周りの細胞はすべて、飲酒喫煙でダメージが蓄積されている、と考えて良かろう。


声の嗄れた木久扇師匠を見て一番心配しているのは、「喉頭癌」の再発である。嗄声はそれだけではなく、反回神経(迷走神経の枝で、声帯の運動を支配している。胸腔内で神経が分岐し、右は鎖骨下動脈、左は大動脈を回って、そこから喉に上がっていくので、「反回神経」と呼ばれる)の麻痺でも起きる。反回神経麻痺なら、大動脈瘤や、肺がんなどによる縦郭リンパ節の腫大なども原因となる。


木久扇師匠の年齢を考えると、そのような悪性疾患などがあっても、もう積極的な治療の適応ではない。なので、病気のことは隠し、体力の持つ限り「笑点」に出演し続け、「いよいよ限界」となった時点で引退され、その後すぐに旅立たれるのではないだろうか、と心配している。


高齢の方なので、しょうがないこと、とは思いながら、最初の挨拶で、この数回、しわがれた声で話し始めておられる木久扇師匠を見て、そんなことを心配した次第である。

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