第497話 やはり「COVID-19」は身近なところに。

次男君との週末の広島旅行が堪えているのか、左鼻のところに単純ヘルペスが出てきてしまった。これまではほとんどが左右の口角に出ていたのに、この1年ほどは、鼻孔近くにヘルペスができるようになってきた。それそのものに病的意義はないが、無意識のうちについつい鼻を触っているのだろう。「痛たたたた!」と無意識に鼻を触ってびっくりすることが多いのは不便である。もちろん抗ウイルス薬も開始している。


次男君の「奔放」で「勉強しない姿勢」に対して、一昨日妻とお話ししていた。妻と次男君の間には「ギクシャク」したものができており、解決しづらい、あるいは解決しないかもしれない溝ができている。その中でも、家族仲良く、と夫婦ともども思ってはいるのだが、二人で話していて、妻が次男君に非常に厳しい発言を繰り返すと、こちらとしては次男君の気持ちを代弁して、弁護せざるを得ない。そうこうしているうちに「あなたは○○(次男君)の味方ばかりして、まともな話し合いにならない!もういい!」と妻が激怒。とうとう夫婦仲まで悪くなってしまった。とはいえ、大きな溝のある二人である。片方の思いばかりを優先しても始まらない。と思っていたのだが(妻はどんどん声が大きくなっていき、私は「まぁまぁ」と妻に「気持ちを落ち着かせるように」と言って、極力冷静に、客観的に話をしたつもりだったのだが)。


そんなわけで、妻は、天岩戸に閉じこもりになられ、昨夕は(夕食は妻がある程度しっかり用意してくれていた)、私、長男、次男の3人で食べることとなった。


食事をしていると次男君が、「最近、学校でコロナが流行っているみたい。今日も部活に行ったら、部長、副部長ともう一人がコロナにかかったんやって」とのこと。


当院では、5/8以降は「発熱外来」に加えて、飛び込み受診の「咳、くしゃみ、熱、咽頭痛など」を訴えている方についても、発熱外来とは別の部屋に待機してもらい、いわば「準発熱外来」という形で運用している。1週間前からの症状、と言われれば、仮にCOVID-19であっても、療養期間を過ぎているので、という事で検査は行わないのだが、3日前から、という事であれば、私に診察依頼が来た場合は必ずCOVID-19抗原検査を指示している。


発熱外来、準発熱外来の患者さんとも、検査をすると陽性、という方が増えてきた。もちろん症状は決して重症な人ばかりではない。むしろ私が「この人、先に検査してください」とお願いすると、看護師さんが「本当に検査がいるのかなぁ」と少し怪訝な表情をしながら検査をしてもらった人も陽性になり、「先生、コロナ、陽性でした!」とびっくりされることも少なくない。「咳、鼻汁、咽頭痛など」を訴えている患者さんは発症時期にかかわりなく「別室案内(先ほどの「準発熱外来」)」となっているので、もちろん全員が陽性、という事ではないが、「検査をした方がいい」と思った人の陽性率は高くなっている。


そんなわけで、次男君にも「あんた、症状が出てきたら必ず言うてな。検査するから」と伝え、最近は私の就寝時刻よりも遅くまで、二人とも勉強をしているので、「ほな、先に寝る」と言って、昨日は就寝した。


今朝、ルーティーンを済ませて、食卓に着いた頃に、目覚まし時計が鳴り続け、「目覚ましいつまでも鳴らしてうるさいねん!起きる気があったら、さっさと目覚ましを止めて起きろ!」と次男に一喝して、次男が起きてきた。


「なんか熱っぽいし、のども痛い」と体温を測ると37.6度。「あんた、検査した方がいいわ」と言って、ストックの検査キットを出してきて、私が鼻をぐりぐりして検体採取。抗原検査を行なうと見事に陽性であった。


長男君が天岩戸に行って、「お母さん、○○がコロナ陽性!」と報告し、妻もリビングに下りてきた。


「学校には、俺が連絡するわ」と私が伝え、次男の高校の出欠システムに入力。長男には「もう、濃厚接触者の規定はないから、マスクして学校に行っていいよ」と伝えた。困ったのは私である。食卓は座卓であるが、私の右隣りが次男君。当然食事中はマスクをつけないので、至近距離で明らかに濃厚接触、である。


職場の規定では、「濃厚接触の場合は、所属長を通してICT(Infection Control Team:感染対策チーム)に連絡を」となっているのだが、今日も「早出」の担当(当直医は午前8時まで、常勤医の定時は午前9時からなので、その間をつなぐ医師が必要なのである。火曜~金曜までは私が「早出」担当をしている)なので、いつも通りに出勤しても、既定のとおりに出勤しても、ICTメンバーは出勤していない状態である。しかしながら、「早出」医師は絶対に必要なので、いつも通りに出勤した。患者さんの使わないルートを使って医局にいつもの時間に到着し、いつもなら、着替えてすぐに回診に回るのだが、ICTメンバーが出勤するまで、マスクをつけて(もちろん勤務中は食事以外はマスクを着けている)、医局に待機していた。


ICTのメンバーであるDr.が、8:15頃にお見えになられたので、状況を報告。「現時点で無症状なら、感染対策(と言っても、マスク、フェイスシールド、こまめな手指消毒と、いつもとすることは変わらない)をして、通常勤務してください。症状が出現したら、検査を行ない、陽性であれば所定の期間休業してください」と指示をもらった。


特に症状もないので、いつも通り、回診して、カルテを記載。一人胃瘻造設時の固定用の糸を抜糸する必要があったので、それを抜糸し、医局に撤退。医局の窓を開けて換気を良くして、待機している次第である。


先ほど妻からLINEが届いたが、「何となく私ものどが痛い」とのこと。市販の検査キット、4つぐらい買って帰らないといけないだろう。私の仕事に影響が出なければよいのだが。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る