第496話 それだけ、マスクが「有効」ってことだよ。

ソースは6/7付の読売新聞オンライン。Yahooニュースより。


<以下引用>

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行した後、子どもの風邪が急増している。国立感染症研究所の6日の発表によると、夏風邪の一つヘルパンギーナの患者数は移行前の5倍、RSウイルスは2倍にのぼった。感染対策の徹底でコロナ禍中は流行が抑えられ、免疫が低下した影響とみられている。


いずれの感染症も、通常は7月頃に流行する。今年は状況が異なり、5月28日までの1週間に全国約3000の小児科定点医療機関から報告された患者数は、1医療機関あたりヘルパンギーナは1・33人、RSウイルスは1・95人。5類移行前の1週間は、それぞれ0・28人、0・99人だった。

 東京都荒川区の上野小児科医院には5類移行後、風邪の子どもがひっきりなしに訪れている。発熱した子どもだけで1日に40人診ることもあり、5月上旬の2倍だ。重症化して入院した子どももいるという。

 森内浩幸・長崎大教授(小児科)は「コロナ禍の感染対策の徹底で、多くの感染症で流行が少なかったため、免疫が低下し感染が広がりやすくなっている」と指摘。子どもは本来、乳幼児期に様々な感染症にかかって免疫をつけていくことから、「感染を過度に恐れる必要はないが、重症化するケースもあるので、いつもと様子が違う場合は、迷わずかかりつけ医を受診してほしい」と話す。

<引用ここまで>


COVID-19が5類感染症になり、みんながマスクを外した途端に、これら接触感染、飛沫感染で流行する疾患の流行が見られるようになった、ということは不思議でも何でもなく、現実問題として、「マスク」「手洗い」が、感染予防にどれだけ有効だったか、という証明である。


診療所時代に、院長から聞いた言葉で、何かの文献からの引用だと話していたが、「子供が成人するまでに、約100回熱を出す」とのことだ。多分それは正しいだろうと思っている。巷でおおよそ流行しているウイルスっておそらくそれくらいなのだろう。そして、年齢が小さいほど(6カ月までの児は除く)免疫を持っていないので、結局のところ小さいころに何度も発熱し、感染を起こし、そのようにして免疫をつけていくのだろう。


「マスク」という「強力な」感染予防対策を打っていたので、本来なら感染しているはずの「飛沫感染」するタイプのウイルスに罹患することがなく、マスクが取れたと同時に流行が一気に始まったのだろう、と見るのが適切だと思われる。


本文中で「免疫が低下」と記載されているが、この言葉には注意してほしい。今起きている感染拡大は、各個人の体内で「免疫細胞の機能が低下して起きる」という意味での「免疫が低下」ではなく、「免疫細胞は正しく働いており、短期間に新しいウイルスの感染が起きているので、発熱の間隔が短くなっている」ということである。なので「免疫の低下」という表現は適切ではないのだが、手短な「言い換え」の言葉がないのでそういっている、と思っていただければよいだろう。各個人の「免疫力」が低下しているわけではなくて、「本当は3年かけて感染していくはずの疾患に、短期間で感染しているのでそう見える」だけである。


ここをしっかり書いておかないと、もし「反マスク」の人が見たら、「ほら、マスクをしなかったから日本人の免疫力は低下したのだ」と正しくない認識を持ってしまうので、強調した次第である。

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