第471話 「公明党」何をやってるの?

私が選挙権を得たころは、中選挙区制で、公明党は「野党」であった。議員数は今とそれほど変わっていないと思うのだが、まだ社会党が力を持っていて、自民党vs社会党という構図があり、公明党は”Casting vote”と呼ばれる立場にいた。すなわち、国会内での採決で、議決が通るか通らないかは、少数野党であった「公明党」が握っていた、という事である。


私が選挙権を得て3年後くらいだろうか?「中選挙区制度は、汚職の温床」という声とともに、「小選挙区制度」への制度変更の話が出てきた。このときに公明党は「小選挙区制度」に賛成派だったと記憶している。後に公明党は「中選挙区制に戻すように」という働きかけをするようになったが、皮肉なものである。


閑話休題。小選挙区制度となると、巨大政党である自民党に対して、野党がバラバラであれば、明らかに自民党に有利になる。という事もあり、野党勢力が結集し、「新進党」という政党ができ、公明党も新進党に加わったと記憶している。


かつての自民党は「派閥政治」が幅を利かせていた、という印象があるが、これはこれで「すごいことだ」と私は思っている。党内に「タカ派」と呼ばれる人たちや「ハト派」と呼ばれる、考え方の大きく異なる人たちを抱えながら、党内で意見の調整を行ない、最終的には党としての方針が固まり、その方針に沿って動いていく、という事ができたからである。さながら自民党の中に複数の政党が存在する、というのとほぼ同義の状態であったが、それでも「自民党」としてまとまっていた。


「新進党」は実際に「野党」の寄せ集めであったが、非常に残念なことに自民党の「派閥政治」のように、各党派同士が「新進党」という枠の中で議論を戦わせ、妥協すべきは妥協して「新進党」として一枚岩で政治を進めていく、という事ができなかった。いったん結集した野党連合もまたバラバラと崩壊していった。


その歴史の中でも、時代の流れで一時「自民党」が野党となり、民主党が「与党」となった時代があった。その当時の時代の熱、民主党への期待感は非常に強い物だったが、その期待は急速にしぼんでいった。民主党政権時代、現実的でいわゆる「まとも」な総理大臣は野田 佳彦氏だけであった。


自民党と公明党の連立が始まって四半世紀近く、と記事で読んだが、あれはいつ頃であっただろうか?当時自民党に所属していた小沢 一郎氏と、公明党の市川 雄一氏との「一・一ライン」なんてものが話題になっていたのは?


一時は、自民党からの創価学会攻撃も激しいものがあったように記憶している。確か、自民党の一部議員を中心として、他の宗教法人関係者なども参加し、「四月会」なるものが結成されたように記憶している。創価学会側は「四月会」は「死・学会」を意味している、と言っていたような記憶がある。


自民党の「反・公明党」運動から「自公連立政権」にどのように政治が動いていったのか、残念ながらその辺りの記憶が欠落しているのだが、いずれにせよ自公連立政権は長く続いている。


自民党の恐ろしいところは、「連立を組んだ政党」をことごとく滅ぼしていくところにもあると思っている。第一野党である社会党と連立を組んだ「自民・社会・さきがけ新党」の連立では、社会党の村山 富市氏を首相に立てたが、連立解散後の社会党→社民党の衰退は明らかである。自民党から分党した新自由クラブも結局は自民党に戻っている。


今回の東京28区の問題、表層で見えているより根が深いものなのかどうか、よくわからないが、表層で見る限りにおいては、公明党に分が悪いように思われる。「候補者を立てるのを止められたから、東京での支援はしない」という話も変な意地の張り合いに見える。「大衆のための党」だろう。「国民、大衆」のために、もっと建設的な着地点はなかったのだろうか?と思ってしまう。


あるいは自民党が一般の人に「公明党が悪い」と思わせるように動いているのかもしれないが。


ただ、現実を見ると、1990年初頭の中選挙区制だった時代、公明党は”Casting Vote”として、政界で一定の地位を保っていたが、現状で連立を解消し、下野するとどうであろうか?世論調査では、あれほど評判の悪い立憲民主党よりも政党支持率は低いわけである。また現状では野党はボロボロの状態であり、"Casting Vote"自体が今の国会では死語である。このような状況で、公明党がかつてのような存在感を出せるかどうかは疑問である。


さて、今後政局はどのように動いていくのだろうか?

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