第456話 わぁ、恐ろしいことを考えてしまった!

今回の話は不快な話かもしれません。それでも良ければお読みいただければと存じます。「気持ち悪い」話が苦手ならば、どうぞ読み飛ばしてください。



毎朝、病棟回診の後、時間があればネットニュースを確認している。今日もたわいのないニュースを集めたサイトを眺めていると、一つのニュースがあった。曰く


「歌舞伎町でネズミがすごいことになっている」


記事では、歌舞伎町界隈では、生ごみに集まるネズミ(大きさからはドブネズミと思われる)が大発生しており、殺鼠剤を使用し、ちょっと減少したように見えてもまたすぐに増えてくる、という記事と、生ごみに集まるネズミを写した写真が掲載されていた。


写真では、生ごみ袋を隠すほどに密集したドブネズミの写真が数枚掲載されていた。


食物連鎖のトライアングルでは「ネズミ」は本来は下層(この表現が適切かどうかは問わないでいただきたい)に存在し、中型の肉食動物に食べられるべきものなのだが、残念ながら、都会にはこのネズミの捕食者がいない、ということが大きな問題である。それに加えて豊富に餌があることから、大発生はある種「必然」であるわけだ。


殺鼠剤を使ったところで、速やかに耐性を獲得してしまうので、薬剤でこの大繁殖を抑えるのはほぼ不可能だと思われる。


都会で大発生してトラブルを起こしている生物としては、ほかに「カラス」も挙げられるだろう。本来なら「カラス」は「ネズミ」の捕食者足り得る(いや、ドブネズミの成獣は大きすぎて手に負えないか?)はずだが、おそらく「ネズミ」よりも「生ごみ」の方が美味なのだろう。どちらの動物も人間の出した「生ごみ」を餌としている。


都市伝説だが、私が小学生のころ、まことしやかに「マクドナルドのハンバーグは「ネズミ」の肉でできている」なんてうわさが流れてきたりした(もちろんそんなわけはないのだが)。


また、最近は将来の食糧不足、タンパク質不足に備えて「昆虫食」として「コオロギ」が注目されている。日本でも昆虫食の歴史はあり、イナゴのつくだ煮や蜂の子などは古くから食べられてきている。


個人的感想ではあるが、「ふぐ」みたいな下手をすれば死んでしまうような魚でも食べるのに、「コオロギ」を食べる習慣はなかった、ということから考えても、「コオロギ」は「食用に適さない」のではないかと思っているのだが、なぜか「コオロギ」推しである。


そんなことを考えていると、不意にとある考えが私の頭の中をよぎった。


「たんぱく源、このネズミとか、カラスに求めてはどうだろうか?」と。


生ごみを食べているネズミ、おそらく消化管内には厄介な微生物などがいると思われるが、健康なネズミであれば、筋肉はきれいなはずである。カラスも同様である。


なので、一度殺鼠剤の使用をやめて、物理的にネズミを回収し、一旦はそこから動物用飼料の材料としてそのネズミ、あるいはカラスの筋肉部分を利用し、それで肥育された動物のお肉を食べる、殺鼠剤などの化学物質の影響が少なくなれば、人間がネズミやカラスの肉を、そのままの形ではなく、何らかの形に加工して食するようにすれば、「コオロギ」に頼らずとも、都会の中で食物連鎖が完結できるのではないか、と考えた。


問題は、誰がどうやって、現在主に食べているウシ、ブタ、ニワトリよりも小さい(カラスはニワトリより大きいか?)ネズミを解体するのか、消化管にいると思われる厄介な微生物を避けて、清潔な肉を回収するのか、という問題と、「生物濃縮」の問題で、人間にとって不都合な化学物質を「生ごみ」として食した「ネズミ」「カラス」を食用とすることで、人間の中で生物濃縮が起き、不具合が起きないか、ということであろうか?


とブラックなことを考えてしまった。


食物連鎖は偉大で、食べるもの、食べられるものの関係だけでなく、排泄物や死骸などを食べたり分解するものがいて、またそれらの生物が食物連鎖の中に組み込まれていく、という見事なシステムとなっている。


都会でのネズミやカラス、Gの問題も、本質的にはそれらの捕食者が都会にはいない、というところに還元されるわけで、何かが捕食者とならなければならない。直接食べるのは嫌だなぁ、とは思うのだが、何らかの工夫をして、食物連鎖の中に戻さなければならないのではないか、なんてことも考える次第である。


ちなみに、Gであるが、Gの羽は非常に良質のキチン質でできているそうな。


キチン質(N-アセチルグルコサミン重合体)は生体適合性に優れており、人工皮膚や手術用の糸などにも使用されている。ただし、Gのキチン質が人工皮膚に使われている、という話は聞いたことがないが。

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