第366話 「信頼感」を逆手に取った最悪の殺し方

京都で女子大生を「タリウム中毒」で殺害した疑いで、30代の男性が逮捕されている。状況的には限りなく「クロ」っぽいが、推定無罪の原則があるので、「疑いで逮捕された」とだけ記しておく。


一般的な話だが、古くから毒殺という手段はよく用いられていて、毒物として「ヒ素」がよく用いられていた時代には、ヒ素を発見するために「銀」のカトラリーが用いられていたとかいないとか。


「食事を共にする」というのは、どの文明でも「あなたと親しくなりたい」という意思表示であるので、個人的には、毒殺は「敵意をむき出しにして」殺し合うよりも、却って陰湿で卑怯な手段だと思ってしまう。もちろん、敵と食事をする際には、頭のどこかで「毒殺」ということも意識しているであろうから、それなりの準備をして挑むはずである。


今回は二人きりでお酒を飲んでいるときの事件である。おそらく女性は、男性を心から信頼して、グラスを傾けていたに違いない。容疑者が黙秘を続けており、真相は闇の中であるが、仮に毒殺が真実だとしたら、彼女は自分に毒が盛られたことにも思いが至らず、ただ、どんどん悪くなっていく自分の体調に戸惑いながら亡くなっていったのではないか?そうだとしたら、とても悲しい。


真相が明らかになるのか、他の事件と同じように、黙秘を続けたまま、何かの拍子に容疑者が自殺などで真相が明らかになることなく、終わってしまうのかもしれない。


「毒殺」ってひどい殺し方だなぁ、と思いつつ、毎年ホウ酸団子を適切なところに置いている私である。

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