応援コメント

第253話 大阪のCOVID-19行政の「闇」?」への応援コメント


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    この話で言いたいことは山ほどあるのですが、大阪府が人口あたり死者数がNo1になったのは是非切り込んで欲しいです。
    都道府県医療の最後の砦になる府立病院の徹底的な合理化と廃止。
    新潟県立病院はたくさんあると批判されますが(10以上)、救急、精神科、感染症は県庁、知事から県立病院長に電話が「ひきうけてくれ、ベッドを増やしてくれ」とすぐ電話がいくそうです。
    最後の砦がたくさんあるので、新潟県のコロナ死者数は260人くらいにおさまっており、それはすべて高齢者です。大阪府の人口は新潟県の4倍。大阪府の死者数は1000人くらいにおさまってないとおかしいですよね。確保したベッドは本当に稼働して、見合う医療従事者は本当にいたのかと。

    維新の政治家が府立病院長に「お前が最後の砦だ、頼む」という先の病院がほとんどない状態になっている。いや、直接に電話をかけてお願いしたのかと。政治家がどれほど汗をかいたのか?
    これはいずれか総括しなければならないと思います。

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。

    これについてはなかなか複雑な問題が横たわっていると思います。

    私は公立病院での臨床経験はありませんが、民間病院では、病棟の損益分岐点が、稼働率90%程度になります。

    COVID-19はエアロゾル感染を起こすので、本来は陰圧室で管理すべき疾患なのですが、陰圧室は結核病棟でない限り、大学病院レベルでも2,3床です。なので、一つの病棟を完全にCOVID-19病棟にせざるを得なくなります。

    私が修業をした病院は、私の師匠が院長をしており、呼吸器内科医でもあったため、最前線で戦っておられたようです。ICUでECMOまで回していたそうですが、緊急性の高い心臓血管外科手術、循環器内科の急性心筋梗塞緊急PCI後、脳神経外科手術を行なわなければならないため、ICU8床のうち、3床(すべて隔離管理部屋)しかCOVID-19に使えませんでした。一般病棟が9病棟で415床の病院なので、1病棟あたり約45人、90%の病棟使用率なので各病棟に約40人の患者さんがいることになります。一病棟を空けようとすると、その40人をどうにかしなければなりません。COVID-19専用病棟を1棟作っていたそうですが、患者数の激増でもう1棟増やさなければならなくなり、本当に苦労されたと聞いています。

    第6波だか、第7波だか忘れましたが、そこからは「自院内で発生、あるいは訪問診療などでfollow中の方がCOVID-19に感染した場合は、極力自院で対応すること」となったので、第7波の感染大爆発の時は、急性期病院は目いっぱい。急性期病院に新たな病棟を確保しようとしても、あふれる患者さんをうけとるべき私たち回復期、療養型病院も院内クラスターで患者を受け入れられない、という状態になっていました。

    病棟の損益分岐点が稼働率90%、というのはおそらくどの病院でもそれほど変わらないので、「ベッドを空けてくれ」と言ってすぐにベッドが用意できるほどの余裕がある、という事は、通常運転時であれば「赤字垂れ流し」病棟、という事でもあります。ちなみに病院の病床数を越えて患者を受け入れる「オーバーベッド」、へき地の病院に修行に行った際にしばしば起こりましたが、月の半分まではお目こぼし、月の半分を超えると地方厚生局からペナルティ(詳しくは知りませんが)があると聞きました。

    第7波では医療従事者にも影響を与えました。特に中堅の看護師さんは既婚者が多く、家族の誰かが感染すれば「濃厚接触者」となって出勤できなくなりました。私の病院でも、看護、介護職の方はピーク時には感染者、あるいは濃厚接触者として1/3以上が出勤できなくなったようで、病棟師長が頭を抱えながら、綱渡りの勤務を組んでいました。当然、必要数のスタッフを充足させることはできず、出勤したスタッフはオーバーワークとなりました。

    システムに冗長性を持たせればコストがかかり、赤字体質になる。冗長性を削れば、このような緊急事態に対応できない。これはジレンマだと思います。

    これは個人的感想ですが、第7波で、全国で1日に21万人以上の新規患者さんが発生していた時は、大阪では純粋にベッドも、医療従事者も不足していた、と思っています。