第253話 大阪のCOVID-19行政の「闇」?

言葉遣いからお分かりのように、私は関西在住である。2022年ももうすぐ終わるが、一年を総括する10大ニュースが選ばれる一方で、チラッと見えて、すぐに表に出なくなった話題が2つあるのを忘れてはいない。どちらも大阪府政に関することである。


今年の1月下旬に、私はCOVID-19に感染してしまった。おそらくこれが感染の原因だ、と思っているのは外来での診察だ。


第何波か忘れてしまったが、COVID-19抗原検査キットが不足している時期で、診察前に外来看護師さんから、「できる限りコロナの検査は控えてください」と注意を受けて外来をした日であった。私の格好は、ゴーグル代わりに花粉症対策メガネ、そして、不織布マスクをつけて外来をしていた。


外来中に看護師さんから、「先生、発熱と頭痛を主訴に受診している患者さんと、発熱や呼吸器症状はなく、吐き気と下痢を主訴に受診されている方が来院されているのですが、どうしましょう」と相談を受けた。検査キットに余裕があれば、二人とも「検査」と返答したのだが、キットが足りない、と言われれば悩んでしまう。確か、前者は診察前に検査を、後者は診察して判断しようと考えた。


そして、消化器症状の患者さんを呼び込み、診察を始めた。病歴を確認し、いつものように診察を行なった。ただ、咽頭の診察の際に患者さんが「オエッ!ゴホンゴホン!」と私の顔の前で咳をしてしまい、私は飛沫を顔全体に浴びてしまった。素早く身体診察を行ない、「COVID-19で消化器症状が強く出ることもあり、念のため検査をさせてください。検査で陰性なら、感染性胃腸炎として対応します」と患者さんに説明し、患者さんに抗原検査を行なうよう、指示を出した。患者さんが診察室を出ると、大急ぎで診察室の後ろにある洗面台で、顔を石鹸でしっかり洗い、眼鏡も石鹸で洗い、不織布マスクも新しいものに付け替えた。そして、結果が出るまで別の患者さんの診察を続けていた。


どうも私の引きが悪いのか、先にCOVID-19の検査をしてから診察する、とした発熱と頭痛の患者さんは、検査陰性、そして、私に飛沫を飛ばした患者さんが陽性であった。

「あ~っ!これは俺、感染したなぁ」と思いながら、患者さんに結果説明を行ない、保健所に発生届を作成した。


その日の午前診はそのまま続けたが、その後は、必要なければ極力病棟に降りることをせず、医局でおとなしくしていた。私自身のこの飛沫を浴びたところからホテル療養終了までの経過は拙書「保谷君、流行に乗ってしまう」に書いているので割愛するが、ホテル療養となったわけである。


ホテルでは食事について、入所の時に「しっかり食べたいコース」と「普通食コース」が最初に選択でき、自分の食事量を考え、「しっかり食べたいコース」を選んだのだが、提供されるお弁当は「しっかり食べたい人」には全く足りないものであったことを記載しておく。


さて、前置きが長くなったが、ここからが本題。ホテル療養中の2/1、MBS(毎日放送)がスクープとして、COVID-19ワクチン配達についての問題を報道した。曰く、ワクチンの配送業務は某医薬品卸業者が落札したそうだが、その契約の中に、「この業務は下請けに出さないこと」と条件を付けていたそうである。ところが、落札した業者は下請けに業務を流し、しかも、ばれないように、「医療機関に配送車が到着」すると、落札業者の制服に着替え、医療機関関係者と接触するときは、「卸業者の職員」を装わせ、配送が終わり、次の医療機関に移動するときは「卸業者」の制服を脱いで、「まったくその業者とは関係がない」ことを徹底する、ということになっていたようである。またその詳細なマニュアルも制作されていた、と報道されていた。実際に配送にかかわっていた下請け業者の突撃取材もされていて、かなりしっかりと取材をし、かなりの裏を取ってから、スクープとして出したようだった。


個人的には、「大問題だ」と思ったのだが、翌日には、他局も、そしてMBSもこのことについて、全く触れなくなってしまった。極めて不自然であった。内心、大きな力が働いたような気がしてしょうがなかった。そんなわけで、この報道はMBSが2/1の夕方のローカル情報番組で、2時間ほど報道されておしまい、となっていた。新聞が入手できなかったのでそちらの報道がどうなっていたのかは分からないのだが、少なくともTVではそれ以上の報道はなかったのが事実である。


それともう一点。先ほど、ホテル療養開始の際に、食事を「がっつり食べたい人コース」と「普通の量」コースが設けられており、私は「がっつり食べたい人コース」を選択したのに、量が足りなくて少しひもじかった、と書いたが、ホテル療養から帰ってしばらくしてから、「ホテル療養でのお弁当」問題が報道された。国からは「一食(一日、ではない)」に1500円の援助が出ていたらしいが、大阪府でホテル療養した人たちから、食事量が少ない、という声が多数寄せられている、との報道だった。これは私も実感しており、各食事をすべて写真に撮っているが、お弁当、特に栄養のバランスをとったものになっているわけではなく(一日一回、野菜ジュースは付いていた)、3日ごとのローテーションメニューであった。


割高なコンビニでお弁当などを買っても、1食1500円なら、おなかがパンパンになるほど食べることができるはずである。「原価厨」になるわけではないが、おそらく大量に生産しているはずなので、1日1500円の予算でも十分私達が食べた程度の食事が出せるのではないか、と思ってしまう。少なくとも「1食1500円」という食事ではなかったことは確かである。


これについても2月の中旬ころだったか、問題が報道されていたが、すぐに報道されなくなってしまった。


大阪維新の会、旧来の政治に新風を入れてくれると思っており、実際に改革も行なってくれてはいたのだが、やはりこのような問題が明るみになって、しかもそれが1日~数日で報道されなくなってしまうと、そこには何か「闇」があるような気がしてならない。


真相は不明だが、その2点。自分自身で経験したこともあり、今も疑念を抱いている。

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