第190話 PCを変えてくれ~!

紙カルテシステムである当院だが、一応画像はPC画面で確認できることと、紹介状などの様々な書類はPC上で管理されている。画像システムと書類システムは別のLANに乗っているのだが、書類のシステム用のPCは、診察室に置いてあるものは数年前のCeleronが載っているものなので、はっきり言って「チョー」遅い。


昨日の外来、古くに「幽門(胃の出口)狭窄症」と診断されたことがある、という方が受診された。カルテをさかのぼると、昨年大学病院で内視鏡検査を予約されていたが、検査を受けず、終診、となっていた。

「今日はどうされましたか?」といつものように診察を始める。


数週間に一度だが、胃から物が出ていかない、詰まったような感じがして夜も苦しくて眠れず、数回嘔吐して溜まっているものを全部吐いてしまうと楽になり、また普通に食事ができるようになる、胃薬(PPI)を飲むとちょっとましなので、薬が切れたので処方してほしい、とのことだった。


お話からは、やはり幽門狭窄症が影響している可能性は高そうである。前回の大学病院予約の経緯を聞くと、職場から一番近い病院であり、前回は金銭的な問題があって検査を受けなかったとのことだった。やはり上部消化管内視鏡の検査を受け、必要があれば、幽門狭窄症の手術を考慮した方が良いだろうと考えた。いつも処方されている胃薬を処方し、「大学病院への紹介状を用意しますね」と伝え、診察を終了。


紹介状を作成するため書類作成ソフトを立ち上げたが、立ち上がるのがまず遅い。入力画面に到達するまで5分くらいかかったか?入力して、プリントアウトしようとすると、プリントアウトの画面にたどり着くまでがまた5分近くかかった。それほど長い紹介状ではないにもかかわらず、紹介状の印刷に15分近くかかってしまった。以前から遅いと思っていたが、ここまで時間がかかるのは初めてだった。このスピードでは仕事にならない。


なにか変なソフトが障害になっているか、とも思い、再起動をかけようとしたところ「更新して再起動」の表示が出ていた。もちろんwindowsの更新も必要だと思い、「更新して再起動」を選択すると、PCが全く動かなくなってしまった。


とりあえず、PCのことは横に置いておいて診察を再開した。心の中で、「紹介状とか作成が必要になったらどうしよう」とドキドキしながら溜まってしまった患者さんの診察を進めていった。「お待たせしてすみません」と謝罪しながら診察を進める。幸いにも、そのあと紹介状や、システムを使って文書作成が必要な方はいなかったが、PCの動きは非常に遅く、3分ほどしてようやく「システムを再起動します」の画面が出現。ゆっくりゆっくりシステムの更新が進み、1時間半ほどかかって、ようやくシステムの更新と再起動が終了した状況だった。システムの更新が終わった時点で私の外来も30分遅れで終了となり、再起動後の動作確認はできないままだった。


医局の自分のパソコンからも書類作成システムにはアクセスできるようになっているのだが、それなりのPCを使っているので、書類作成にイライラすることはない(出勤すると書類を作成すべきカルテが自分の机に山盛りになっているのは「うっ!」と思うが)のだが、どうして外来のシステムはこんなに遅いのだろうか?やはりCeleronでは荷が重いのではないだろうか?


改善がないようなら、医局会で「外来のPCを刷新してほしい。紹介状作成に15分もかかるようでは、仕事にならない」と提案しようか?と思っている。

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