第110話 「全人的に診る」ための手法?

今日と明日は、所属するプライマリ・ケア連合学会の秋季セミナーが開催される。今日は通常業務であり、申し込みをした3講座のうち、リアルタイムで受講できたのは1つだけだた。「プライマリケア認定医・指導医」として大変不勉強で恥ずかしいのだが、受講した講座では、全人的に患者さんを診るツールとしてICFというものを使う、というものだった。ICFの正式名称は忘れたが、患者さんの健康問題を、いくつかの視点で整理し、それらの要素が相互作用をしているととらえて動的に患者さんを診ていく、というツールであるらしい。


講義では在宅医療の現場で、リハビリスタッフが患者さんをどのような視点で評価し、サポートしているか、というのを映像で見て、ICFに即して考えていく、というものであった。大きなものを各要素に分解し、解析していくというのは科学的には基本的なアプローチであり、分解した各要素を深く考えることで隠れていた問題点が明らかになることも多いと思う。ただ、「各要素に分解」してしまうことは、「動的」なものを「固定化」してしまうことにもつながりかねない。そういう点で、各要素に分解し、解析したものを動的に再構築、というのは極めて難しい。そういう点で、ICFを使ったアプローチと、経験の深い、あるいは主治医-患者関係が強固な関係を築けている状態では、「直感的」に診ることと、あまり大きな違いは無いようにも感じた(もちろんこれは、私が「ICF」というツールを使いこなせていない、自家薬籠中の物とできていないことも一因だと思っているが)。


ただ、医師、看護師、リハビリスタッフ、MSW、ケアマネージャー、家族それぞれが、患者さんに対してそれぞれ異なる視点でものを見ており、それぞれが意見を出し合い、共通認識をもって患者さんに対応していく、というチーム医療は重要だ、ということは痛感した。


うーん、日々の仕事に流されて、自分の知識がアップデートされていないなぁ、と反省する次第である。学会に参加するたびに、痛感している。

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