第105話 国連から選挙監視団を送れないかな?
プーチン氏が、現在占領、実効支配しているウクライナの領土の住民に対して、「ロシアに属するかどうか」という住民投票を行う、という声明を発表した。言うまでもないことだが、「独裁国家」における「選挙」はただの儀式に過ぎない。ロシアでは、野党は徹底的に弾圧され、野党指導者は暗殺される始末である。なので、野党議員が立候補することそのものが叶わない。投票所は監視されており、反対票を投じたものはまるわかりで、選挙の独立性もない。
香港も中華人民共和国政府から、政府の方針に従わない人物の立候補は禁止されてしまった。いわゆる北朝鮮では「労働党」への支持率は99.9%である。選挙が「民意」を正確に反映するようなシステムの構築、維持にはたくさんの血が流されてきた。
ウクライナへの侵略はあのクリミア併合の前から行われており、住民の親ロシア派化(反ロシア派住民を徐々に粛清し、親ロシア派の人間を居住させていく)は緩徐だが着実に行われてきたとの報道を目にしたことがある。
1993年、長い内乱を経て、カンボジアで「真っ当な形」での総選挙が行われた。住民たちに、選挙制度や、候補者の正しい情報を届けるために「ラジオを送ろう」運動が行われたことを記憶している。国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)が総選挙を行なったが、そこまでの介入は無理としても、選挙監視団として、国連から人を送ることはできないだろうか?とはいえ、現実のところは、戦地に赴くわけで、丸腰の文民を送るわけには行かないし、国連軍のPKOの一環、とするなら第三次世界大戦の引き金にもなりうるわけである。やはり難しいか…。
ある意味、「葵のご紋」ともいえる「選挙・住民投票」。そこでの不正を発見するのは、ジャーナリズムに期待せざるを得ないか。
ロシアもずいぶん追い詰められているようである。これ以上ロシアが暴走しないように、そしてウクライナ侵攻が軟着陸できるように、ただ祈るのみである。
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