第104話 手のひらクルー(あるいは大いなる矛盾)

オミクロン株にも対応するというCOVID-19 2価ワクチン(オミクロン株対応ワクチンのこと。「オミクロン株」と「武漢株」の2種類のワクチンが含まれるので「2価」という)。先日岸田首相が「年内に接種対象者に接種を終わらせる」と発言したことが新聞で報道されていた。例年通り10月からインフルエンザワクチンの接種が始まるので、「困ったな~」と思っていた。以前に書いたとおり、ワクチンの取り違えミスなど、2つのワクチンの混在でミスが倍増することが心配だったからである。


さて、今朝のNHKラジオニュースを出勤途中に聞いていると、「オミクロン株対応の新しいワクチンは、2回接種を終えている方で、『前回の接種から5か月以上たっている人』が対象」とのことだった。


うちの病院、今、ファイザー、モデルナの1価ワクチンで4回目の接種を頑張っている所なんですが…(9/17にも50人近くワクチンを打ったよ)。その人たちは、2価ワクチンを希望しても、2月まで打てないことになるのだが…。


厚生労働省は以前から「積極的に4回目のワクチン接種を」と医療機関のお尻を叩き、岸田首相は「年内に対象となる人全員に2価ワクチンを接種する」と言い、適応の人が報道されると「前回の接種から5か月以上たっていること」が条件に入っている。言っている事に全く整合性が取れていない。


本気で2価ワクチンを打つつもりがあったのなら、2価ワクチンの認可に目途が立った時点で、すぐに1価のワクチンを(未接種、1回接種のみの人を除いて)止めなければならなかったはずである(今の1価ワクチンでも、前回接種から5か月程度時間を置く必要がある)。しかしそうすると、高いお金を出して購入した1価のワクチンが無駄になってしまう、と厚生労働省が考えたのかどうか知らないが、第7波の真っ最中も、「1価のワクチンでも重症化を予防する効果は十分ある」と言って、1価のワクチン接種をどんどん進めてきていたわけである。そんなわけで、今、2価のワクチンが承認され、「今度はこれをどんどん接種していこう」としても、接種後の時間の問題で接種できない人が多いわけである。「年内に対象となる人全員に2価のワクチンを接種する」という言葉は、直近に4回目のワクチンを接種した人はカウントに入れていないのだろうか?


この整合性のとれなさっぷりを見ると、いわゆる「手のひらクルーッ」とでもいうのか、これまで必死に4回目ワクチンを接種していたのがアホみたいに思えてくる。


2価のワクチンが万能、というわけではないのは、すでにいくつか報告が出ており、私たちの努力が全くの無駄だとは思わないが、それでも「何じゃそりゃ!?」という思いがないわけではない。


あ~あ、なんかモヤモヤするなぁ(と思いながら、今週の土曜日も1価ワクチンの接種予定がたくさん入っている)。

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