第98話 結局「無用の長物」に
COVID-19の流行が始まると同時に、ある意味突貫工事で作成したアプリ「COCOA」。結局、COVID-19全数把握を見直す、とのことで「COCOA」の前提である「全数把握」が消えてしまうため、「COCOA」も運用を停止されるとの報道があった。
アプリ開発にかかった費用は約3.8億円とのこと。受注した会社がそのうち3000万円を中抜きし、3社に業務委託。その3社のうち1つは1億円少々で業務委託を受け、その仕事の一部(だと思うのだが)を数百万と1千万少々で別の2社に業務委託をしていたようである。受注会社は国の基準で、業務委託はその費用の50%まで、という規則があるのだが、94%を業務委託に回していたようである。1年ほど前だが、COCOAの不具合が複数見つかったものの、このような奇奇怪怪の子受け、孫受けの構造で責任の所在があいまいになり、うやむやのままになってしまったのも、いつの間にか話題にも乗らなくなってしまった。
今年の6月に、感染者総数1千万人(2年半かけて)を超えたのだが、数日前に感染者総数2千万人を超えてしまった。3か月で1千万人の感染という、バカみたいな大流行であった。私はCOCOAが発表されるとすぐにインストールしたが、陽性者との接触の通知が来たことは一度もなかった(しかも、私自身がCOVID-19に罹患したにもかかわらず、である)。一度だけ、長男坊のCOCOAに通知が来たことがあったくらいである。
国家予算から見れば、3.8億円は大きなお金ではないのかもしれないが、結局ほとんど役に立たないまま、運用停止となってしまうこととなった。
まさしく、「無用の長物」であったと言わざるを得ない。国内で開発できるアプリのレベルがこの程度のもので、どうして「日本は技術立国」と言えるのだろうか?少なくともIT分野については、本当に有能な人は冷や飯を食わされ、利に聡い人だけがうまく立ち回っているのかもしれない。
とにかく、COCOAには、申し訳ないが失望した。失敗から学ぶことは多いであろう。今後、新たな感染症が流行した際に、陽性者との接触を確認するアプリを作る際には、同じ轍を踏まないでいただきたい、とつくづく思う次第である。
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