第59話 覚悟を決めたら?

COVID-19 第7波はものすごい勢いである。連日新規感染者が全国で20万人を超えている。COVID-19 累計患者数が、1千万人を超えた、と報道されたのが7/13なのだが、1ヶ月経たないうちに、1400万人を超えている。まさしくpandemicの状態である。


5類感染症とし、インフルエンザと同等の扱いにすれば医療崩壊は落ち着く、という意見が飛び交っているが、本当にそうだろうか、少し統計を見て考えてみた。


2018~2019年のインフルエンザ定点観測及び推定患者数を見てみると、多いときでは1週間に150万人の感染者が発生していたと推測されていたようである。現在、毎日23万人程度の患者さんが発生しているとして、7日間で約160万人くらいか?


医療従事者が、PPEの装着をやめ、待合室でのCOVID-19疑いの人とそうでない人の区別をやめ、濃厚接触者の定義をやめ、COVID-19患者さんであっても、行動制限を加えず、病棟でのクラスター発生、外来患者さんの診察室での感染には完全に医療提供側の無責とする、という形にすれば、何とかなりそうではある。抗SARS-Cov2薬の供給は不十分で、しかも妊婦さんには禁忌であるが、抗ウイルス薬の使用を中等症2以上の非妊婦さんに限定し、医療従事者で人繰りがつかない場合、COVID-19感染症感染者でも出勤、業務を可とすることができれば、医療崩壊は起こらなさそうだ。

もちろんインフルエンザより重症化率、致死率は4倍ほど高いので、集中治療室使用数が爆発し、今度は集中治療室がoverflowしてしまう。なので、70代以上は気管内挿管、人工呼吸器を使用しない、60歳以上の方にはECMOを使わない、という制限を掛ければ、ある程度ICUや重症病棟の使用数も減るだろう。


さて、これだけの提案を日本国民は受け入れることができるのか?人口ピラミッドはある程度補正されるかもしれないが、医療従事者、政治家、国民はそれを受け入れられるか??


受け入れることができれば、医療崩壊は改善するだろう。インフルエンザの時には週に推定で150万人程度の患者さんを診察、治療しているのだから。


ただ、こんな条件、荒唐無稽で受け入れることは到底できない、ということであれば、医療崩壊を受け入れざるを得ないと心得てほしい。


インフルエンザの約8倍の感染力を持ち、約4倍の重症化率、致死率を有する(オミクロン株で)感染症である。開業医と言っても内科や小児科、耳鼻咽喉科ばかりではなく、泌尿器科や眼科、産婦人科など、畑違いの開業医も多いのである。リスクを許容せず、医療崩壊は医療体制側の怠慢、と思っているのであれば大間違いである。

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