第54話 How Terribly Strange to be seventy…

昨日の当直、早朝に自分の担当患者さんがshaking chillと高熱が出現(bacteremiaのサイン)したくらい(いや、shaking chillを伴った高熱は「結構まずいこと」なのだが)で、夜間に呼ばれることはなかった。とはいえ、やはり今までの当直と同様に、当直では基本的に熟睡できない。今日の午前の仕事は眠かった。


夜は、youtubeを見たり、文章を書いたりしていた。Youtubeでは、9日前にupされた動画で、Paul Simonが今年行なったコンサートで、たぶんアンコールなのだろう、ギター一本で“Sound of Silence”を歌っていた。


高校時代は、クラブで弾いていたバロック時代の音楽と、The Beatles、そして、Simon & Gurfunkel(以下、S&Gと略す)をひたすら聞いていた。過日の高校時代の思い出も、いろいろな場面で、ビートルズとS&Gの音楽とリンクしている。


S&Gは太宰 治にも似ていて、高校生くらいの心に響く歌詞が多いと思う。ビートルズは、もっと若い世代に響く歌詞もあれば、アラフィフとなった今頃になって、すごく歌詞が染みる曲もある(In My Lifeなど)。そういう点ではやはりビートルズは格別なのだとは思うが、私はビートルズと同じくらいS&Gが好きである。


“Sound of Silence”は、原曲はCapo 6thなのだが(ギターを弾かない人は訳が分からなくてすみません)、youtubeでは、Capoなしで歌っていた。最近のPaul Simonのいで立ちは、野球帽をかぶり、その横からは真っ白な髪の毛が見え、カジュアルなカッターシャツと中にTシャツを着て、チノパンをはいている。カジュアルなアメリカの爺さん、という感じだった。キーを落として歌っていたのは、おそらく年齢的に現調では声が出なくなったからだろう。Paul McCartneyのコンサートの一部もYoutubeで見ることができるが、ビートルズのナンバーでも、彼の若いころのソロ曲でも、当時は彼のShout一発で決めていたところが、オクターブを落としてモヤモヤッとごまかしているところがあり、やはり、彼らの声も年齢には勝てないのだなぁ、と思う次第である。私自身も、高校時代は難なく歌えていたビートルズナンバーやS&Gナンバー、何曲かはHigh toneが出なくて歌えなくなったものがあり、年齢には勝てないのだなぁ、と実感する。


画像を見ると、Paul Simonはずいぶん歳をとったように見えた。年齢を計算してみると、御年81歳である。Paul McCartneyも同じく81歳だったと思う。この年齢で、ステージで間違えずにギターを弾き、歌えるだけでも素晴らしいのかもしれない。


S&Gの曲である“Old Friend”、歌詞の中に”How terribly strange to be seventy”(70歳になるなんて、とっても変な気がする)というフレーズがあったが、Paul Simonは70代を越えて、80代になってしまった。私も気がつけば70代になっているのかもしれない(もしくはそれまでに亡くなっているかもしれないが)。


Paul Simonの動画を見て、ふと、この歌詞を思い出した次第である。

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