第36話 サイクリストのマナー?

一昨日の新聞で、「大阪中央環状線の高架橋で自転車とトラックが接触、自転車の運転手は十数メートル下の地面に落下し、死亡。トラックは逃走中」という記事を読んだ。「ひき逃げ」をするのは言語道断だと思うが、その一方で、その高架橋は「自転車通行禁止」とのことだったそう。おそらく現場と思われる所は何度もバイクや自動車で通ったことがある。自転車は道路の左端を通るはずであるが、その高架橋に入ろうとすると、3車線の真ん中、あるいは右端の車線を走っていなければならない。「自転車通行禁止」というよりも、本来、道路交通法に沿って自転車を走らせると高架橋の入り口にはたどり着けないはずなのである。


今朝、次男君がお出かけのため、日曜日としては朝早く駅まで車で送っていった。次男君を下ろして、一人で自宅に帰る途中、大きな交差点で赤信号につかまった。車を止めていると一人のサイクリストが車の左横をすり抜け、「左右の確認を全くせず」「赤信号の交差点に」ノンストップで進入していった。幸い交通量が少なく、そのサイクリストは事故にあうこともなく赤信号の交差点を走り抜けていった(ちなみに、歩道の信号も赤信号だった)。


最近、健康のためなのか、自転車にも装備にもお金をかけているサイクリストの方をよく見かけるが、少なからず、交通ルールを順守しているとは言えない方がおられるのは事実である。法に準ずるなら、軽車両として扱われるため、道路の左端を走行すること、信号は自動車用の信号に従うこととなっているはずなのだが、後方確認もせずに道路を左端⇒右端に移動したり、スクランブル交差点では歩行者信号に合わせて進んだり、車が少ないときは信号を無視して走りだす、ということはしばしば見かけることである。


過日、SNSにサイクリストが「車、左に寄せてくるな」と投稿し、「車は左折するときには左に寄せてバイクや自転車の巻き込みを防ぐこと、と道路交通法にあります」と反論されていた、という記事を見た。


初めに書いたひき逃げの事件では、容疑者が逮捕された、と朝刊に載っていた。悪意を持ってサイクリストを跳ね飛ばしたのなら論外だが、避けられない事情で事故をしてしまったのであれば、責任はトラックだけではなく、本来通行できない場所を自転車で無理やり(道路交通法で規定された自転車の通行ラインを通っていれば、その高架橋の入り口にはたどり着けないはず)渡ろうとしたサイクリストにも、それ相応の非があると思われる(高架橋(おそらく跨道橋)の幅は有限で、幅の大きなトラックが走ってきたら、自転車の逃げ場所はない。なので自転車通行禁止になっているはずである)。


サイクリストすべてが問題だ、とか、車のドライバーが悪くないとかいうつもりはない(サイクリストも、ドライバーも、マナーを守れない、守らない人は少なからずいるのである)が、自動二輪以上に自転車は危険なものだという認識が双方に必要であり、お互いにお互いを守るための防護運転を考える必要があると思う。


ちなみにではあるが、私が研修医時代を過ごした街は、自転車の運転マナーが極めて悪く、サイクリストだけではなく、ママチャリの方や、ご高齢でフラフラしながら自転車に乗っている方でさえ、後方確認もせずに車道側に自転車が飛び出してくるのは日常茶飯事であった。「危ない!」と思い、ブレーキを掛けると、後方確認をロクにしていなかった自転車の人から「どこ見てんねん!」と怒鳴られる始末である。地域性と言えばそれまでだが、自動車側が「どこ見て走ってんねん!」と言いたくなることは多かった。


注意しないと、自転車も、自動二輪も、自動車も危ない乗り物だと本当に思っている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る