第29話 小選挙区制と自民1強体制

現在、衆議院では小選挙区比例代表並立制、参議院は選挙区制+比例代表制で選挙が行われている(正式名称は長いので略す)。私が選挙権を得たころは、衆議院選挙は中選挙区制で行われていた。一つの選挙区から複数名の当選者が出る、というスタイルである。中選挙区制のメリットは死に票が出にくいこと(例えばとある選挙区で、A候補30%、B候補28%、C候補19%、D候補12%・・・、という得票率であった場合、中選挙区制で、この地域が定員3名なら、A,B,Cの3人が当選し、選挙結果として反映された民意は77%となり、結果に反映されない投票23%が「死に票」となるが、小選挙区制ならA候補のみが当選、となるので残りの70%の投票が「死に票」というわけである)、複数の当選者が出るので、ある程度その地域の民意を反映しやすいところであった。私が選挙権を得てから何年後か忘れたが、それまでの55年体制が揺らぎ始め、選挙制度についても動きがあった。曰く、「中選挙区制度は、選挙区が大きく、お金がかかり、汚職などの腐敗政治が起きやすい。衆議院選挙は小選挙区制を導入し、クリーンな選挙にしていくべきだ」との動きであった。


小選挙区制を導入するなら、選択肢が少ない方が死に票は少なくなる。ということで、日本も2大政党制になっていくのだ、という動きが起きた。新進党や民主党が結成され、野党連合が結集したが、残念ながら、時代とともに新進党、民主党も分裂し、結局「小選挙区制」だけが残った、というわけである。なので、例えば自民党と拮抗するほどの支持を得た政党であっても、各選挙区でトップの得票数を稼がなければ、政権交代しづらい制度であり、世論調査を見る限りでは、自民党に負けないくらいの支持を集めている政党がなく、そういう点でもこの状況は変えづらい。


とはいえ、一時は民主党が政権を担った時期もあったので、野党そのものに政策実行力があれば政権交代もあり得るのだが、野党そのものが分裂、迷走しているので、少なくともしばらくは政権交代は起こらなさそうである。今回の選挙結果を受けて、株価が上昇したことに対して、野党は恥ずかしく思わなければならない(市場は、「君たちが負けてくれてよかった」と思っていることが、株価に反映されているのだから)。


ウクライナの問題から見えてくる、「日本」という国の地政学的立ち位置、政治的立ち位置。30年間経済成長できなかったという「実績」を残している「日本」という国。これをどうかじ取りしていくのか、国民の一人として真剣に見つめている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る