「忘れられない事」。その事実だけで、人は前を向ける

「やる気と元気を分けて頂きたく」
本作品に関する作者の近況ノートには、そう書いてあった。

このエッセイで紹介されている作品の1つ「蒼、インザレフ」の作者、緑山陽咲です。

何の為に物語を書くか。そこには、少なからず自己顕示欲や承認欲求があると思う。自分の思考から生まれた自分の物語を、皆、文字を通して誰かに見せる為に書いているから。そう言う類の欲求が激しい高校生ならば、なおさら。

故に、物語に対する応答は力になる。「誰かが自分の作品を読んで、何かを思ってくれた」。その事実の確かな証拠となるから。

作者はこのレビューの冒頭に記した思考からこのエッセイを書いているが、それは自分たち高校生にも当てはまる。
「誰かが自分の作品を読み、何かを思ってくれた」。そんな事実と、作者の綴る感想──物語に対する「応答」は、僕たちの「やる気と元気」に繋がる。端的に言ってしまえば、相乗効果。

しばらく物語を書くのは良いかな、なんて思っていたが、このエッセイを読んで途端に筆を走らせたくなった。それだけの魔力が、この「応答」にはある。これは、中途半端に未熟で中途半端に純粋な高校生と、作者との間で編み出されるエッセイ──ではなく、カクヨム甲子園のもう1つの「物語」なのだろう。