麦の秋でチュン 🐥

上月くるを

麦の秋でチュン 🐥




 厚い雲と薄い雲がせめぎ合い、梅雨の晴れ間というにはドヨ~ンとした感じの朝。

 四方を高い山並みで囲まれた広い平野は、植えたばかりの稲田のさみどり一色で。


 その爽やかな景に、ところどころ、長方形に切り取ったように香ばしい茶色……。

 収穫期を迎えた麦が豊かに実り、カラカラに乾いて刈り取りを待っているのです。



      ⛅🌿



 とそこへ、犬を連れた初老の男性が通りかかりました。

 し~んと静まり返っていた麦畑は、にわかにザワザワ。


 どこに隠れていたのか、麦と同じ色のすずめたちが、いっせいに飛び立ちました。

 よほど夢中でついばんだのでしょうね、どの子も、お腹がぽんぽんの感じ(笑)。


 呆気に取られて麦畑を見ていた犬と男性は、どちらからともなく歩き出しました。

 大丈夫、ふたりが行ってしまえば、すずめたちはまたもどって来るはず。(^_-)-☆


 いえいえ、農家さんにとっては大丈夫じゃありません。

 これこれ、すずめさん、ほどほどにしておきなさいね。


 一方、ふと足を止めた老紳士は、午後の句会で投句する句を句帳に記しています。

 いつせいに雀舞ひ立つ麦の秋――発見がない? まあこんなものでしょう。(笑)



      👴🐕



 はるか東方の高い山の頂上には3基の鉄塔が立っていて、そこからなだれる電線のうえで、やかましやのすずめのオバサンたちが読み聞かせの発声練習をしています。


 街のカラオケボックスではシニアの常連女性客が人気歌手のプレミアムデュエットで『麦畑』(作詞・作曲:榎戸若子・上田長政)をフリ付きで(笑)歌っています。

 

 そして、電車に何時間も乗らないと到着しない西方の遠い都では、シャッター通りの雑貨屋さんの片隅で、すずめの置物がお客さんの恋の相談相手をつとめています。




      👧🐤



 え? だからなに?! ですか。(*'ω'*)

 やんだたまげたな、さすねぇこと言うな。




  。。。。  。。。。  。。。。




 勝手に名づけたシリーズ「すずめオムニバス」第2話🐥

 @ramia294さまの傑作『雑貨屋さんのスズメさん…の置物。』はこちら。(*'▽')


 https://kakuyomu.jp/works/16817139555597986232




 

 

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麦の秋でチュン 🐥 上月くるを @kurutan

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