幻の花

風が荒む 曇り空 降り注ぐ爆弾

この街もかつては賑やかだった

いつからか 曇りゆく 睨み合う集団

私達は踏みつぶされていった


そんな私を貴方は助けてくれた

瓦礫の下の私にまた太陽を見せてくれた

水だってくれたわね

きっと私は貴方に恋をしてしまったの


星と出会うような奇跡が起きた

「君をこの悪しき幻から救うよ」と

瓦礫の星での約束は光り輝いた

その光よ どうか消えないで


微睡みと温もりの 与えられる潤い

私はそこまで贅沢は言ってないのに

なぜかしら わからない 貴方は優しい

けれど感謝の言葉は届かないのよね


そしてある日気づいてしまった

私は貴方が創り出した幻だったと

花はこの世から消えたんだね

貴方の幻の中で生きた一輪の花

花さえ咲かぬ世界で幻を見た

「いつかこの地にまた花を咲かす」と

眠る蕾が瓦礫から顔を出していた

どうか私を幻にしないで


貴方に出会えた

この奇跡の幻を忘れはしない

そしていつか必ず

幻ではない貴方の生きる世界で

咲いて会いに行くから

百年かかろうと 千年かかろうと

貴方が咲かせてくれると信じているから

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ALBUM 雨瀬くらげ @SnowrainWorld

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