第7話 ゆっくり寝るけんね。
「ん。お兄さんの体、すっごくあったかいと。なんや安心するちゃね……」
「ほいでな? ウチの抱き心地は、どう? 疲れが取れる気はすると?」
「落ち着く? ふふっ。それは良かったちゃ」
「あっ、まだ手は離しちゃダメなが。もうちょっとだけでいいけん、このままギュッとしてて欲しいと」
「こうしてるとな? ちょっとだけ恥ずかしいがいけどな? ウチ、すっごく幸せやけん」
「ほやから、このまま2人で寝るちゃね」
「ふふっ。あんな? お兄さんはアイマスクでわからんと思うけど。ギュッてする前から、部屋の電気は消してあったと」
「お兄さんは、すっごく疲れてるけん。このまま一緒に寝るちゃね」
「ダメ? そんなこと言ったらいややが。ぎゅってしてたら疲れが取れるけん。一緒に寝たらもっと疲れが取れるとね」
「一緒に寝るのは本当にダメ? そんなことないちゃよ?」
「ウチはな? 相手がお兄さんやから安心しとるけん。他の人には絶対にせんとね。……お兄さんはウチに、女を感じたと?」
「……むぅ。そんなことないってないね。ウチって、そんなに魅力ないと?」
「う、ううん! なんでもないが! ウチが軽いとはいっても、乗ったままはお兄さんが辛いけんね。ちょっとだけ横に移動するとよ?」
「えっと、お兄さんの左手を下敷きにしないように、ちょっとだけ頭を下がり気味にする。そのまま、ウチの額をお兄さんの胸に当てるように……」
「ん? お兄さんはどうしてむこうを向いたと? そのままウチのことを見ててくれてよかね?」
「近かったから? それってもしかして、ウチを相手に恥ずかしがってると?」
「ん? 向かい合ってると眠れそうにない?」
「んー、わかったちゃ。ウチが壁の方を向くけん。お兄さんは、ウチのことを後ろからぎゅって抱きしめる形にするとね」
「ん? お互いの背中を向け合う? それは絶対にダメやが。疲労が全然なくならんとよ」
「あんな? ウチはお兄さんのことを思って言っとるとね。後ろから、ぎゅってしてくれんと?」
「ん。ありがと。大好きやけん。……これも、気持ちいいちゃね」
「正面からぎゅってするのも、全身でお兄さんを感じられると。お兄さんに包まれてる気がして、すっごく幸せな気がするっちゃね」
「お兄さんは? これで眠られそうやと?」
「眠れそう? ん。それなら、今日はこれで寝てみるとね」
「……あんな? お兄さんは、ウチとぎゅってするのイヤやと……? イヤじゃないならな? 明日からも、ウチと一緒に寝てほしいっちゃけど、お兄さんはイヤやと……?」
「イヤじゃない? ん。そしたらな? 明日からもウチと一緒に、ぎゅってして寝るけん。約束やよ?」
「ん。ウチがな? お兄さんのことを毎日癒してあげるっちゃね」
「ほやけど、こうしてお話してる時は、やっぱり向かい合わせでギュッとしている方が話しやすいちゃね。うんしょ……」
「ん。やっぱりこっちの方がいいけんね」
「ねぇ、お兄さん。明日ってお休みやったよね?」
「あんな? ちょっとした思いつきなんやけど、ウチとどこかゆっくり出来る場所に行かんと? 例えば、混浴が出来る温泉、とか……」
「かっ、勘違いしたらダメやと。これも、マッサージと一緒やけん。一緒にお風呂に入ると疲れが取れるって聞いたけん。温泉ならその効果も増えると思ったとね」
「ん? お家でゆっくり寝ていたい? それならウチも一緒に、こうして一緒にお昼寝するけんね。お兄さんは、どっちがいいと?」
「その二択は卑怯? なんでそうなると? ウチは、その理由が知りたいっちゃね。教えてくれんと?」
「あっ、また目をそらした。どうしても言いたくないと?」
「ん、そやったら、理由は言わんくていいちゃね。その代わり、どっちがいいかは答えて欲しいと。そしたら、ウチを卑怯って言ったんは、聞かんかったことにするけんね」
「ん。そっか。お兄さんは、そっちを選ぶとね。わかったちゃ」
「……お兄さんのエッチ」
「ふふっ。なんでもないとね。それじゃあ、寂しいけどそろそろ寝るちゃね。明日もお兄さんと癒しの時間を満喫しなきゃいけんもんね」
「約束通り、ウチが壁の方を向くけん、後ろからぎゅってしてくれると?」
「ん。ふふっ、今日は本当に幸せな1日やったちゃね。お兄さんはどやったと? 疲れは取れたとね?」
「取れた? ん。それなら良かったちゃね」
「あとな? 寝る前に1つだけ聞いて欲しいと」
「お兄さんのそばにはな? ウチがずっと一緒におるけん。すべてを忘れて、いまはウチと一緒にゆっくり寝るちゃね」
「おやすみ、お兄さん」
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方言女子に愛される、のんびり2人暮らし~お兄さんは頑張っとるけん。ウチに癒されていいがよ?~ 薄味メロン@実力主義に~3巻発売中 @usuazimeronn
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