普通に頭が痛い
っ!
頭が痛い。
駄目だ意識が.......
「ノール!ノール!しっかりしろ.....」
父上が僕の名前を呼んでいる。本当に駄目だ目の前が真っ黒に......
◇◇◇◇
「父上!ノールは無事なのですか?!」
息子のカインが私の執務室に駆け込んできた。
「静にしろ。その件について今、司祭様から話を伺っているところだ。」
「っ。申し訳ございません。弟が倒れたと聞いて取り乱してしまいました。」
「サイラとリーンはどうした?」
長女と次女も末息子のノールを可愛がっていた、カインと同じように執務室に飛び込んできてもおかしくない。
「あの二人はまだ知りません。ノールの誕生日プレゼントを用意すると魔の森へ狩りにいってくると言っていましてので、早くとも帰るのは明日以降となるでしょう。」
娘達は誰に似たのか活発に育った。あの二人なら魔の森の魔物など問題ないだろう。
「カイン、お前もこちらへ来なさい。」
「はい。」
カインが私の隣へ腰掛けたのを確認して対面にいる人物へ声を掛ける。
「司祭様、話を中断してしまい申し訳ない。」
「気にしなさるな。家族が仲がよいことは喜ばしいこと。ベインフォール辺境伯領の未来も明るいですな。」
人の良い笑顔を浮かべながら司祭様は答える。
「それでノールの件ですが、」
「ふむ、ご子息のノール様は教会で祈りを捧げた際にギフトを授かったようですな。」
「なっ!ギフトだと!」
なんてことだ。喜ばしいことだが、ギフト所持者は国内に判明してるだけで3人しかいない、そのいずれも国の要職へと就いている。
「父上。ギフトとはなんですか?」
カインはまだ知らないか。来年になれば12になり王都の騎士学校か、魔法院へ通う時になって習う内容だからな。知らなくても無理はない。
「そうですな、カイン様のスキルはなんでしたかな?」
「聖剣技です。」
そうだ。カインのスキルは【聖剣技】ベインフォール辺境伯家の嫡男が代々受け継ぐ我が家を象徴するスキルだ。
「一騎当千の剣の技と魔を払い人々を癒す光魔法の素質、他のスキルとは隔絶した力を持つ【聖剣技】スキル。それすらも超越するのがギフトなのです。」
その有用性と危険性からギフトに目覚めたと同時に隔離されることも少なくない。
「司祭様。ギフト名はなんでしょうか?」
まだ望みはある。危険性の無いギフトなら国や教会から息子を守ることもできる。
「【普通】ですな。」
は?今なんと言った?普通?
「普通とは、どういうことでしょうか?」
「ふむ、では、もう一度ベインフォール辺境伯家二男ノール・ベインフォール様のギフト名は【普通】です。」
普通に生きて普通に死んだ。そして神から【普通】というギフトを貰い異世界へ転生した。 youさん @yn1212
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