第11話 リリカへのハッピーバースデー

長くなったが。

俺達は.....何かを取り戻そうとしている。

その事を思いながら....翌日。

俺は追試を受けた放課後になってから.....そのままちょっとした誕生日プレゼントを買いに出掛ける。

そして装飾品の店に入ると。


「.....せ.....先輩?」


「り、リリカ。何故お前此処に!?」


俺は驚愕しながらリリカを見る。

リリカは申し訳無さそうな顔をしながら俺を見てくる。

それからまた顔を俯かせた。

俺はその事に頬を掻きながら、こうなったらコイツを騙せないか、と思いながらリリカに向く。


「リリカ。何か欲しいものはあるか」


「.....え?それってどういう意味ですか」


「お前が変わった記念もある。.....何か買ってやるから選びな。装飾品」


「.....そ、そんな。私みたいな.....のに」


「.....お前だから、だ」


真剣な顔を見せる俺。

それからジッとリリカを見た。

リリカは、それはどういう意味ですか?、と向いてくる。

そんなリリカに答える。


「お前に装飾品を買ったら.....牽制になるだろ。最悪な思いの」


「.....せん.....ぱい.....」


「だから思い出すんだ。何か悪い事をしそうになったら俺達を」


「.....分かりました。じゃあ髪留めを下さい」


「.....髪留め?」


「茶髪を変えるつもりです。.....私は黒髪にするつもりなんです」


それから髪を切るつもりです、と言ってくるリリカ。

俺はビックリしながらその顔を見る。

リリカの目は真剣な目をしていた。

顎に手を添える俺。

それから、分かった、と返事をした。


「お前がそういう決意なら応援する。短い髪の毛にするんだな?」


「.....そうです。決意の証です」


「.....無理はするなよ」


「.....はい。先輩に好かれたいので」


「.....そうか」


俺は、因みにどの髪留めが良いんだ、と指差す。

すると、先輩が選んでくれた髪留めが良いです、と言ってくる。

思いっきり見開いた。

それから赤面する。

またコイツは。


「先輩が選んだ物が良いです」


「.....分かった。俺は鈍感だが良いのか」


「.....鈍くても何でも良いです。先輩が選ぶ事に意味があります」


「.....分かったよ」


俺は緑色の真珠の様な髪留めを差し出す。

心惹かれた品物だ。

それを見ながら涙を浮かべるリリカ。

そして髪留めを身に着ける。

とても可愛らしい髪留めだった。


「黒髪の.....ボブにするつもりです。.....それで良いですか」


「.....なんで俺に聞くんだよ」


「先輩の好きなものになりたいです」


「.....お前な.....」


「.....私は諦めません。先輩をどんな形でも」


言いながら、エヘヘ、と笑顔を浮かべるリリカ。

俺はその姿を見ながら額に手を添える。

それから溜息を吐いたが。

その次に苦笑した。

そしてリリカの頭をガシガシ撫でる。


「頑張れよ」


「先輩。髪の毛がグシャグシャになります」


「あ、す、すまん」


「.....でも嬉しいです。応援して下さい。先輩」


「お前が真面目なら幾らでも応援する。不真面目なら応援しない」


「.....はい」


それから俺は、それは誕生日プレゼントにしよう、と言う。

リリカは涙を浮かべて、はい、と笑顔で返事をする。

俺はその様子を見ながら装飾品を購入してから。

そのまま店の外に出る。


「このお店は私の定番のお店です」


「.....ああ。そうなんだな」


「.....だから先輩と一緒に買い物出来て良かったです」


「そうか」


「また先輩。暇なら付き合って下さい」


「今日はこれから暇だが。どっか行くか」


先輩?付き合ってくれるんですか?、と俺を見てくる。

俺は、ん?ああ。まあな、と答える。

それからリリカの手を握る。

そして、お前が変な事をしないか監視しないとな、と笑みを浮かべる。


「夢みたい.....」


「.....まあそうかもな。お前にとってはな」


「.....先輩。ゴメンね。色々と。謝っても謝りきれないです」


「そうだな。今はそうかもしれない。だけど.....これからどんどん反省したら良いさ。大丈夫だ」


俺はそう言い聞かせながら歩き出す。

それから次は何処に行く?、と聞いてみると。

ゲームセンターに行きたいです、と赤い顔で言ってくる。

俺は?を浮かべて見ると。


「その.....クレーンゲームの景品に欲しいものが.....」


「.....子供みたいだな。お前」


「.....そんな事無いです」


「はは。ゴメンな。なら行こうか」


するとリリカは足を止めた。

それから俺を見上げてきてから涙を浮かべる。

頭を深々と下げた。

そして、御免なさい、と言ってくる。


「.....リリカ.....」


「もう私.....何もしません。.....真面目に生きます」


「その決心が聞けただけ良かった。.....リリカ。信用を回復させるには時間が掛かるかもしれないが.....俺は応援する」


「.....はい.....」


号泣しながら俺をみてくるリリカ。

俺はその姿を見ながら暫く泣き止むまで待つ。

それから頭をポンポンと叩いた。

そして撫でる。


「.....有難う.....」


「ああ」


恐らく信用回復させるには相当な時間が掛かる。

だがきっと.....リリカなら。

リリカならやってくれる筈だ。

俺の為に色々の死の呪縛から逃げてくれる筈だ。

それを祈りながら俺はリリカの涙を拭ってあげた。

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幼馴染と付き合い始めたというのに俺はその妹と初めてのキスをしてしまった アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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