第4話「一筋の希望」
グチャリ
ゾンビは風に吹き飛ばされた後、空中から落下した。
落下したゾンビは微かに肩が動いているものの立ち上がる様子はない。
「何が起こったんだ……」
震える声でハヤトが呟く。
心臓あたりから体温が抜ける。
その温もりを補填するかのように空中に流れる水の様な気配がハヤトの体に流れ込んできている。
それはまるでマラソン後に、体が酸素を欲し呼吸する感覚に似ていた。
遠くでゾンビに喰われていたはずの女子高生がのそりと立ち上がる姿が見えた。
その顔はスーツを着たゾンビと同じように目が充血していた。
「やばい」
本能でそう感じたハヤトは立ち上がりすぐに走り出す。
その感は正しく、しばらくして後ろからドタドタと足音が聞こえてきた。
向かう先は我が家。
ハヤトの頭の中にある一縷の望み。
さっきゾンビを吹き飛ばしたのはきっと魔法。
でないとあんな超常現象起こりえるはずがない。
なら、この世界には確実に魔力が存在している。
でも、今のハヤトにはどうやって魔法を使うかも、原理すらわからない。
奇跡的にできただけでもう一度できるかどうかも不安だ。
でも一つだけ今現在、常に発動している魔法がある。
家を囲うようにできたあのピラミッド状の透明な壁。
あれがもしも爺ちゃんが遺してくれた魔法だとしたら。
後ろから聞こえる足音は徐々に近づく。
振り返る余裕はないが気配と音で分かる。もう、すぐ後ろにあれがいる。
「頼む、爺ちゃん!」
ハヤトはダイブするように我が家に貼られた壁に向かって飛び込んだ。
ゾンビの蔓延る世界で勇者の子孫である俺だけが魔法を使える アイル @atwjmpn
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ゾンビの蔓延る世界で勇者の子孫である俺だけが魔法を使えるの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます