白の砦

 【wizzard-魔法使い-】、これを見てくれ。


 たまに来る異かいのモノは、時によく分からないモノを持ち込んでくる。

 異かいのモノはこちら側とは違う価値観や概念を持っているので、悪意や邪気も上澄みだけで対処しても意味がないのだ。下手をすればその関係性が唐突に決壊して恐ろしい報復や反作用を起こす可能性がある。いつも不可思議な緊張感と高揚感を抱く事が常で、その心の変動に彼らは顕著に反応する。


 “如何に誠実に魂で会話するか?”と言う思いや作法がなければ、彼らと意思疎通を取る事は不可能に近い。彼らは心を熟知している所為でこちら側の理に慣れる事がほぼなかった。そんな中で斬新な手法を取り入れた技術も譲渡してくれた。


 僕がその遺物を視認すると、モヤがかかっていた部分がやがて形を帯びて物質化される。それでも幾何学模様のデザインをしていて認識する事を危うくさせる。発狂や精神汚染を及ぼす。


 手に取ると、その遺物と呼ばれる物質は不思議な陰影を放って揺らいでいる。僕は異かいのモノを一瞥したが、感情や意思が読み取れない為意図を読み取る事が出来ない。


 僕がいるラボラトリーの器機で分析を行うと、レアリティはE+と出た。含有している妖精素子は少なく、ちょっとした護符にしか使う事が出来ない。微細なモノだったが、異かいのモノは僕の作業を見て満足したのかいつの間にかいなくなっていた。異かいのモノは僕らのいる世界に干渉する事が難しいので異かいにある物質やそれらを加工した際に出る【coal tar-魔素-】を散布していた。人体に影響が出ない基準値を元に利用してる...ここは、とても危うい【base-基地-】――――...


 白の砦と呼ばれている。


 

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