気持ちを保存する言の魔法

いつも瞼を開ける瞬間、哀しい?と声が聴こえそうな気がする。絶対的な不安と孤独感を感じるからだ。


 「疲れているね。今日も」声がした。酷い眠気があって、いつも通りの最悪の目覚めだ。これが毎日続くのは本当にさめてしまいそうになる。召されたら、どんなにいいだろう....


 「そうもいかない。僕らには約束があるから」少年はそう言いながら、心の中心軸が確かに存在する事を感じなければならなかった。紅茶を入れて音を立てて飲み干す。甘ったるい味が口に広がり、時間が確かに流れている事に酷く落胆する。


 「落胆ばかりで嫌気がさすよ」少年がそう言うと、ハッとした顔をした。息が少し荒くなる。「【wizzard-魔法遣い-】、君の願いが果たされるまでその想いはしまって置いた方が賢明だ」声がそう言うので、きっと、そうなのだろう。


 分かってる。そう心が呟くと、声もそれに呼応するように静まった。幻聴でもめまいでもなく、それは確かに存在する。その事を考えて、一瞬の安穏に安寧しながら、気だるい白昼夢を継続する。


 少年は過剰にモールドが彫られた杖を取り出して


 「粒子の声、記すてさき、繊維の凡てを絡み取る糸」そう言って、自分のこめかみの近くで杖を回した。フッと、気持ちが軽くなる。


 「【wizzard-魔法遣い-】が、魔法に溺れるのは、バカみたいだね」声がする。


 「元々【wizzard-魔法遣い-】は、そう言う種族だった。且つては...」杖を置いて、少年は言葉にした。


 「その傲慢さ故に、今はマイノリティなってしまったね」声が嫌味をまとって言うと、少しだけ、気持ちが軽くなる。

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