病気で死線を彷徨ったことも数度。
交通事故で「ひやり」は両手の指を合せても足りない。
そんなもんだよ、と友人は言う。
近年、そのひやりは、亡くなった父が「守護霊」として助けてくれた、と勝手に思っている。「寝たきり」とは言え、母の介護はまだ完全に終っていない。
事故は、突然。でも、その直前は必ず油断をしている。
「助けて貰った」後、幻の父は言う。「あかんやないか。お母ちゃん、守り抜くって約束したやないか。」ゴメンと呟き、私は気を取り直してペダルをこぐ。
父は買い物帰りに交通事故に遭い、2度と家に帰れなくなった。
父の腰の手術を決断した時、父の喉にパイプを通す決断をした時、父の延命を終らせた時、「慚愧に堪えない」場面ばかりだった。
今日も父に感謝し、夕餉に線香を上げる。
明日もまた生かせて下さい、と。
この文章は近況ノートにも転載します。