初めまして





ゆうた『お、おきてる?』



朝11時ごろ彼からラインがあった。

もちろん起きてて、寧ろ胸がどきどきしすぎて落ち着かなくて

お部屋の掃除をしたり準備したりしていた。


もうすぐゆうくんに会える。

嬉しいけどちょっと…怖い。



私『おはよう!準備中だよ』


ゆうた『おはよ!ましろに会う前に鼻にでかいにきびできた。最悪すぎる。』


私『なにそれ可愛いトナカイじゃん。』


ゆうた『グラサンしてくわ。』


私『それ鼻かくれないからねwww』


ゆうた『もうすぐ家出る?』


私『うん!あと10分で出る予定。どきどきしすぎて死にそう、ほとんど白目剥いてる。』


ゆうた『んでやねんwwうけるw

今日はプリクラでもとるか!』


私『いいね!撮りたい。

14時くらいに着きそう』


ゆうた『じゃあ14時に改札集合な!

俺も今から飯食って駅に向かう』


私『わかた!』


作ったお菓子を鞄にいれて、

まだ寒い季節だったのでPコートを羽織って

マフラーを巻いてお気に入りのスカートを履いて出かけた。


気に入ってもらえなかったら寂しいなと

何度も行きの電車で鏡を見た。


当時はお化粧は得意じゃなくて

ほとんどすっぴんだったので

ちゃんと学生からしっかりお化粧を

覚えておけばよかったな。


何度も乗り換えをして迷ったりしながら1時間以上かけて駅に着いた。


改札を出て柱に寄りかかりラインをうった。


私『今ついたよ!ここであってるのかな。』


ゆうた『お!今近くにいる。

つか腹一杯すぎて声出ないかも、歌えない。』


私『わたし緊張しすぎてご飯食べれなかったよw絶対わたしから声かけられないから声かけてね!』


ゆうた『そこまでかよwすぐ慣れるさー。

俺ニット帽かぶってる。』


私『わたししましまの目立つスカート。』





ああああ怖い緊張するやばい上手く喋れるかな

ラインの返事をそわそわ緊張して待っているとそこに ぴょんっとウサギちゃんが現れた。


いえ、男の子が現れました。

本当にぴょんっと飛び、目の前を横切るように現れたのです。


その男の子が振り返ると目が合いました。






「ましろ?」


私「ゆうくん!!」


ゆうくんの第一印象は、

気怠げで綺麗な二重のおめめに長めの黒髪、

小柄で可愛い素敵な男の子でした。


グラサンはかけてなかった。


ゆうた「ましろだ〜!へへ〜。遠かっただろー。来てくれてありがとなあ。」


ゆうくんははにかんで歓迎してくれていたけど、

私の心臓はバクバク鳴り止まない。


やばい本当にかっこいい…!!

まともに目が見れん…!


私「う、ううん!電車空いてたしよかった。」


ゆうた「じゃあカラオケいこっか!

声出ないかもしれないけど。」


私「もはやそのくらいがちょうどいい。」


ゆうた「なにちょうどいいって。」


私「私は緊張しすぎてひっくり返りそうだから。」


ゆうた「ましろうける。」


ちょっとカッコ良すぎない?!


笑った顔とか細身な後ろ姿!


フォルム!!完璧すぎる…!!!


ああむりすきかわいいゆうくんゆうくんゆうくん


頭の中パニックになってると、

おいでと言われたので彼の後ろを

ソロソロと挙動不審について行った。


そして彼がよく行くというカラオケに連れて行ってくれた。


カラオケは混んでいて部屋が空くまで少し待合室で待つことに。


その間ゆうくんはスマホをいじってる。


私「ゆうくんはなに見てるの?」


ゆうた「ツイッターだよー。

俺ツイ廃だから!」


私「ついはい?ってなに?」


ゆうた「ツイッター廃人ってこと!」


私「ほへえ〜。

ゆうくんのツイッター教えて!」


ゆうた「いいよー!

でも恥ずかしいからあんまみないでね。」


私「それは約束できないなあ?!」


ゆうた「ましろ怖い…。」


ツイッターを教えてもらい、空きが出たので

店員さんに案内されカラオケの室内に入った。

その瞬間彼はさっきまでテンション低めでぽちぽちスマホいじってたのにめちゃくちゃ生き生きし出した。


ゆうた「俺ねえ、立って歌うから!

ひかないでね…。」


私「え、何それライブじゃん。かこいい!!

私座って歌ったことしかない。」


ゆうた「立ったほうが声出るよ。あと椅子動かしていい?」


ゆうくんはズズッと椅子を動かして

自分用のステージを作った。


ゆうた「ここに足かけるから!」


足かけるとは、なんなのだろう。

私には未知の世界すぎてはてなさんがたくさん頭の中に飛んだ。


ゆうた「早速歌っちゃうぞおー。」


私「どきどき。」


ゆうくんが選曲し、イントロが流れ始める。


ゆうた「ましろも入れろなー?」


私「は、は、は、はい。」


ゆうた「どもりすぎ。」


曲が始まり歌い始める。

マイクを両手で持ち椅子に足をかけて

ライブのように彼は歌っていた。


なんだこれすごい!


声量すごくてかっこいい!!


プロみたいめっちゃ上手!!!


感動しすぎて、こんな人のすごい生歌を

近くで聴けるなんてきっと世界一の幸せものだな?一生の運を使い果たしたな?

と心の中で思っていた。


そんなすごい上手な歌を聞きながら

自分の歌を披露しなくてはいけない辛さが湧いてきた。


絶対彼が知らない曲を入れて

なんとかうまくごまかそう…。


私は好きでよく歌ってたpapercraftという曲をいれた。


曲が終わりゆうくんが隣に座る。


ゆうた「ちゃんといれたか?」


私「いれたよ!

でもゆうくんうますぎてまじむりほんとむり。」


ゆうた「まじとほんとは同じ意味だよ。」


私「知ってるよ!!!!」


理不尽にキレながらマイクをとった。

もうどうにでもなれ!!!と思って

頑張って歌った。


ゆうた「ましろ上手いじゃん!

裏声が綺麗だったよ!」


私「ありがとう…。」


ゆうた「俺なら地声でもその高音出るけどね。」


私「きいいい!うるさいなあ!!」


ゆうた「ごめんごめん。」


それから2時間くらいカラオケを楽しんだ。

私の好きな曲も歌ってくれたり、2人で歌える曲を探してデュエットしたり夢のような時間だった。


カラオケの後は夕飯のロコモコを一緒に作る予定だったのでスーパーに向かい材料を買った。


ゆうくんの家についた頃には、もうだいぶ日が落ちていた。


ゆうた「ここが俺んちだよー。

汚いけど許してね!」


私「いいよ、お邪魔しまーす。」


ゆうた「…女の子入れるの初めてだよ。」


私「ぜっっっったいうそ!!!」


ゆうた「なんでだよ!!!」


私「だってゆうくんかっこいいもん…。」


ゆうた「照れるじゃん、ありがと。

ほんとにましろが最初だよ。」


ふふふ、ゆうたの家に最初に入れる女の子になれるなんて嬉しすぎる!


彼の家は1人で住むのには十分な1Kのアパートだった。荷物を置いて買ってきた材料を一緒に片付けた。


そういえば一生懸命作ったバレンタインプレゼント渡さなくちゃ!


私「あ、ゆうくんあのね。

…これ、バレンタイン終わっちゃったけど作ってきたの。よかったら食べて!」


用意してきた保冷バッグからお菓子のプレゼントを取り出し

控えめに差し出した。


ゆうた「おおお!!!まじか!

すげー感動、ありがとう!!」


私「えへへ、たいしたものじゃないけど…」


ゆうた「これ全部作ったのか!

すげえまじでプロじゃん。ましろは最高だなぁ。」


彼はすごく嬉しそうに受け取ってくれて、

目をキラキラ子供のように輝かせながら見ていた!

その姿がわたしには可愛くて堪らなくて

作ってきてよかった!!!と心の底から思った。


ゆうた「じゃあお菓子は食後で、さっそくごはん作るか!」


私「うん!そうしよ!人んちで作るの震えるわ。

それに緊張しすぎてお腹が空かない。」


ゆうた「緊張してばっかだな!作れば空くよ、俺の飯うめえから。」


彼は笑いながらわたしのお菓子を冷蔵庫にしまって、

さっそく彼が玉ねぎを取り出すと、

見てて!と言いながら素早いみじん切りを披露してくれた。


私「えっめちゃすご。本当に上手だね!」


ゆうた「言ったろー?実家にいた頃毎日料理してたから。」


私「わたしそんな早くきれないよ〜、メンツ丸潰れ…。」


ゆうた「頑張れ!!

…あっ!肉は材料混ぜる前にこねて!粘り気出るまで」


私「は、ハイ、」


彼の指示を受けながらなんとかロコモコを作り上げた。トマトをバラにしたりかわいい盛り付けもしてくれた。


わたし学校も通ってて調理師免許も持ってるのに…!なんも出来ない…!

メンツ丸潰れ!!って感じでなんだか劣等感…

ゆうくん有能すぎるのでは…!


私「できたね!ゆうくん本当すごい!今日すごいしか言ってないよ…。」


ゆうた「これが俺の実力。」


私「もう待ちきれない…、いただきまーす!」


緊張で全然お腹が空かなかったけれど

本当に美味しくて美味しくて、感動しながら

ぺろっと一瞬で食べ終えて、ちゃんと食べれんじゃん!ってゆうくんが笑っててちょっと恥ずかしかった。


食事が終わりもうだいぶ時間が経っていて8時ごろ。


もうすぐ帰らなきゃな、寂しいな…。

楽しいことって時間経つの早すぎる。


ゆうた「そういえばスマブラやる?」


私「あっ!やろう!絶対負けたくない!」


ゆうた「絶対勝てないよーーー」


ソファに並んで、スマブラをプレイした。

いろんなキャラを使って挑んだけど、全然勝てなくてこんななにも勝てないまま終われない!

とムキになりながらもう一回!!と何度も対戦していた。


私「っああ!!!また負けた。

ゆうくん強すぎチート使ってませんか」


ゆうた「ましろはねえ、回避を覚えな。

このボタンだよ。」


私「回避なんてできるの?!

攻撃が最大の防御じゃなかったの?!!?」


ゆうた「回避が最大の防御だよー。」


私「回避めっちゃかっこいい。

もう回避しか使わない。」


ゆうた「ドンキーで果てまで追いかけて捕まえて投げるよ。」


私「なんだそれ、おうちで練習してリベンジする。」


ゆうた「無駄な足掻きだな!」


私「魔王に挑む勇者って感じ。」


ゆうた「なんだそれうける。」


1時間以上やってたにも関わらず1回しか勝てなかった。

しかもその一回もお情けの勝ち…。


もう時計は9時を回っていて

終電に乗るにはそろそろ出なくちゃいけない時間になっていた。


私「そろそろ終電近くなってきたからいかなくちゃ。」


ゆうた「わーもうそんな時間か…!

じゃあ駅まで送ってくよ。」


私「嬉しい、ありがとう!」


家を出て2人で駅に向かった。


ゆうた「来てくれてありがとうね。」


私「うん、楽しかった。また遊んでね!」


帰りの道で、本当に綺麗に遊んだな

何もなかったな、ゆうくんの好みじゃなかったかなとかもやもやと色々考えていた。


駅に着き別れの挨拶をして改札へ入った。

何度か振り返ってバイバイをした。

電車に乗り長い道のりはずっとゆうくんのことを考えていた。


すごく素敵な人で1日中胸が高鳴りっぱなしな不思議な感覚だった。


本当に出会えて良かった、幸せ。


私は電車の中でラインを打った。


私「今日は本当に楽しかった、ありがとう。

歌うますぎて感動したよ!また遊んでね。」


それから20分くらい返事こなくてちょっとそわそわ。



さっきのバイバイで最後だったらどうしよう。


冷や汗かいてきた。








ゆうた『たのしかったああああああああ!!』


ゆうた『むしろ次いつなにしてあそぶ!!!笑』



あああああああああああああ!!

何このわたしのこころにずっぽし刺さる

10000点満点なお返事!!!


す       き    !!!!


本当になーーんにもないし、終始クールな感じだったから絶対そんな風に思ってないだろうなって思ってたから嬉しくて嬉しくて嬉しくてたまらなかった。


私は電車の中にも関わらずすごくにやにやと笑っていた。


私『あそぼあそぼ!!

やり残したこといっぱいある!』


ゆうた『いやあほんと楽しかったなあ。

なんだやり残したこと!』


私『ゆうくんのお洋服みたり着たり、

プリクラ撮ったり!』


ゆうた『あーじゃあ次回もうちだなw

次は何作ろっか!プリクラもね!』


私『それはまた近くなったら考えよう!』


嬉しい言葉ばかり言ってもらえてほっぺが地面に落ちそうなくらいの気分だった。

にやにやして呆けているとまた彼からラインがきた。


ゆうた『クッキーうめええええええええ

人生で食ったクッキーで一番うめえ』


なんだこの人神か。


私は自信のなさの塊だったので嘘でもこんなふうに自分の作ったものを褒めてもらえるなんて思ってもなかった。


ああああああ!!!!ゆうくん!!!

すき!!!!!!!!


また早く会いたくて会いたくて震えた。



私『愛情たくさん込めたからかな』


ゆうた『これが愛情パゥワー…』


私『料理は愛情』


ゆうた『結城先生wwww』


結城先生は“料理は愛情”で有名な料理研究家の方。


私『今おうちについたよー!』


ゆうた『ちゃんとおうちついてよかったですねー パチパチ』


私『突然のちびっこ扱い』


そこからぱったり返事こなくなってちゃんとお家着くまで眠いの我慢してラインしててくれたんだなっ嬉しくなって、今日のことを思い出しドキドキしながら私も眠りについた。

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