第6話 side 片腕の男

予想外の事態が起きた。


 そう私が助け出した少年はどうやら魔法をしらないようだった。昔冒険をしていた人はみんな魔法は義務教育なんて言ってたけど、あれ嘘じゃん。俺だって魔法を教わったのは遅かったけど、専門の先生が手取り足取り教えてくれたけどさ、その教え方覚えてないし......どうしよう。一人称あの子の前だと俺だっけ?私だっけ?


「ちゃんとキャラ付けしとけばよかった」


 思い返してみたらこっちの世界に無理くり連れて来られてさ、小説みたいなスキルを授けましょうとかってイベントは無いし、魔法やらスキルはゲームいっぱいやってたおかげですぐ覚えられたし、なぜか魔法力も最初からあったからそんなに苦労しなかった。本当にオタク趣味があってよかったと心から感謝したぐらいだったし.....ブツブツ......



「とりあえず、考えられるメニューと魔法の特訓をするか。メモにまとめてっと」


 最高のサモナーへの道。うん、メニュータイトルはこれにしよう


「目標は...とりあえず書いてみるか」

①魔法スキルの習得

⇒攻撃魔法とデバフ魔法を習得して召喚魔法が無い状態でも最低限戦えるようにする


②召喚魔法の基礎習得

⇒3つの精霊を順番に、確実に呼び出せるようにする。大きさや精霊の強さは最初は問わない。確実に召喚できる制度をあげることを目標にする


③魔法スキルを使っての戦闘経験

⇒召喚魔法が無くても戦い、弱い魔物程度なら1人で狩ることができる。


④精霊たちの指示、コントロール

⇒戦闘をしながら精霊に指示をして戦える。




「・・・・・とりあえずこのくらいか、あとはあの子次第。どこまでできるかだな」


 考えて思いついたのが昔やっていたMMORPGを友人に教えていた時、確か最初に魔 法を覚えてもらってその使い方とタイミング、使用できる回数を把握してもらったっけ....うんこれも特訓にとりいれよう。


「スキルは...外で試しに撃ってみるか」


 ふむふむ、なるほど。最初は杖を渡して魔力の流れを知ってもらい放つ練習からかな。魔力が無くなると倒れちゃいそうだからマナポーションを多めに用意しておくか。


 あと、召喚魔法か。これは陣を覚えてもらってひたすら反復練習といこう。何度もイメージできるよう筆記試験も取り入れて、寝てる時でも陣が出せるよう毎日やり続けてもらうとしますか


 こうやって作業してると前の世界の事も、こっちにきてからの事も色々思い出す。あの時、俺と同じようなことが出来るやつがもう1人いたら...いや、今はやめよう。昔のことだ。


 でも、あの子、家族がいなくなって、帰る場所もないのにすごいよな。少なくともあの年代の時の俺だったら何日も引き籠れる自信がある。いや、辛くないわけがないんだよな。


「メンタルケアもしてあげないと.」

どうやら今日は小言が止まりそうにないな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

英雄に育てられた弟子 砂嵐 @sunaarasi0221

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ