文章表現が綺麗でありながら、けれども読みにくさがなく、すっと入ってくる作品でした。
会話描写に入ると会話劇のようにテンポよく描かれており、地の文では花や色の暗喩なども綺麗に描きつつ、シーンが分かるような書かれ方をしています。
百合作品特有のクセもあまりなく、ドラマとしても見やすいです。
惜しむべきはもっと暗喩に意味を持たせて欲しかったところです。
暗喩だと伝わらない読者もいますから、読みやすく伝わりやすさを意識するととてもいいのですが、筆者のこだわりをもう少し垣間見えるシーンが欲しかった。
ただ、ストーリーもよく、恋の儚さを最後の落とし方まで美しかったので、私はとても好きです。