第3話

 鯖江はどんな罪も帳消しにする魔法の玉を手にしていた。しかし、リスクがあった。あちこちに蔓延る怪物を倒さないといけない。さらに怪物を倒すたびに様々な時代にタイムスリップをするのだ。

 不思議な玉は神居古潭で見つけた。

 石狩川が上川盆地を抜け、石狩平野へと流れていく途中の渓谷にあり、川の流れは細くかつ急になっている。川の最深部は水深70mにも達すると言われている。水上交通に依存していたアイヌにとっては最大の難所であり、しばしば犠牲者が出たこと、あるいは無事な通過を神に祈ることから、カムイコタンという地名になったとする説がある。


 地区内には北海道指定史跡の「神居古潭竪穴住居遺跡」やストーンサークルなど、縄文時代にさかのぼる遺跡群が点在し、古くから集落が存在していたことが示されている。

 1898年(明治31年)、石狩川の北岸に沿って函館本線が開通し、1901年(明治34年)に神居古潭駅(当初は簡易停車場)が設置されたのに伴い、対岸の集落との間に当所初めての橋となる「巻橋」が架けられた。現在は1938年(昭和13年)に建造された神居大橋が川の両岸を結んでいる。

 1969年(昭和44年)、函館本線の線形改良(神居トンネル経由の新線への切替)によって神居古潭駅が廃止された。現在は旧線跡がサイクリングロードとなり、駅舎も復元されて休憩所として利用されている。旧線のトンネル群は2015年に土木学会選奨土木遺産に選ばれる。旧駅舎は旭川市指定の有形文化財(建造物)でもある。

 旧国道12号が石狩川の南岸に沿って通っていたが、1983年(昭和58年)に神居古潭トンネルを通る新ルートに切り替えられた(但し、歩行者と自転車は現在も旧道を使用する)。

 玉はトンネルの中で見つけた。7月15日のことだ。

 紅葉の名所でもあり、毎年秋分の日には「こたんまつり」が開催される。

 なお、2008年(平成20年)1月19日に最低気温-47.2℃を記録したが、のちに機器の故障による誤表示であることが確認された。


 夏菜子の父親は派遣会社『ブラッド工業』の営業マンだ。営業マン浅川大輔は鯖江をあちこちの工場に派遣させた挙げ句、切り捨てた。  

 浅川に地獄を味合わせる為に夏菜子を殺したのだ。


 鯖江の最初の敵はパウチカムイだった。

 アイヌ語では、ウコパウチコロ と言えば性行為を行うという動詞であるが、 これは直訳すると uko「互いに」+pawci「パウチを」+kor「持つ」の意味である。


 パウチカムイは普段はカムイの世界にあるススランペッ川の畔に居り、男も女も皆全裸で踊りながら過ごしているという。そして彼らが踊りながらヤナギの葉を川に投げ入れると、それは魚のシシャモになる。ちなみにアイヌ語ではヤナギの葉はスス・ハムと言い、シシャモはスサムあるいはスシャムと言う。これらの言葉とススランペッとの語呂合わせから来た伝説と思われる。


 ホロベツではシシャモはパウチカムイの魚として恐れられ、他人に渡す時にも直接手渡さずに投げて寄越し、シシャモの料理を客人に振る舞う時にもまず一掴み客の前に投げ散らしてから改めて客膳を出す習慣があった。


 彼らは時々人間界にも現れて踊り人間たちも誘う。そしてその誘惑に乗った者は騒がしく淫乱な性格になり、全裸で走るなどの奇行を行うという。また、パウチカムイは集団で裸踊りをする姿が目撃されるほか、個人に取り憑いてその性格を一変させる事もある。例えば人間が浮気をするのもパウチカムイが取り憑いたためだとされる。パウチカムイの憑依を解くためには、憑依された者を棘のついた枝で殴ったり川に落としたりする必要があると伝えられている。

 凪子もパウチカムイの被害にあった。彼女は仕事仲間でクソ真面目な性格で、真山が「オマーン国際競技場」と下ネタを言っただけで「セクハラで訴える」と怒ったくらいだ。だが、パウチカムイに遭遇してからは真山が「今朝は何食べたの?」って質問すると「オマンゴーとソーセージ」って答えたり、人前で真山の股間を撫でたりするようになった。

 パウチカムイは黒い翼をはためかせ、トルルルル…という音をたてて飛んだりした。 

 鯖江はイムフルでパウチカムイと戦った。 

 イムフルはメソポタミアの守護神マルドゥクが邪神ティアマトを倒す時に使用した風の武器だ。

 去年、物凄い竜巻に遭遇したのだが瓦礫の山とした古城を調べていたときにイムフルを見つけた。

 イムフルは鋭い爪を持ったリスみたいな怪物を召喚し、パウチカムイをズタズタに切り裂いた。

 パウチカムイを倒したことで江戸時代へとタイムスリップした。『妖怪ウォッチ』や『ドラクエ』が好きな真山、晴香、凪子は鯖江と行動を共にしていた。

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ヤバいタマ① 旭川殺人事件 鷹山トシキ @1982

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