第6話 『恋人探し』 2  最終回


 そこに、山から歩いて降りてきた人がいました。


 住宅団地のなかに住んでる方でありましょうか。

 

 おそらく、その人には、幽霊さんは見えていなくて、ぼくと和尚さんが、なぜだか、交差点付近にあって、立ち話をしている。


 そう、見えたでしょう。たぶん。


 『おや、あの方は?』


 和尚さんは、なぜだか、さっと、ぼくの前に立ちふさがりました。


 その人は、帽子を目深にかぶり、お顔はよくわかりません。


 しかし、なんとなく、おかしな感じがします。


 『あら。お邪魔します。』


 と、その人が言いました。


 すると、幽霊さんが、突然叫びました。


 『あ、あ、その声、その雰囲気は、まさしく、かの君。』


 『え〰️〰️〰️〰️😃!』


 ぼくは、なんだか、体がしびれるような衝撃を感じたのです。


 『こ、これは、まさしく、生きた悪霊。早々に、成仏せよ。』


 『ああ、ならば、ぜひ、ご一緒に。』


 『いや、それは、まだ。やることがありますゆえ。お坊さま、関わらないで頂きたい。さもなくば、我が同族がそなたの寺を長きにわたり、呪うであらう。』


 どうやら、この方には、幽霊さんがみえているようですが、恐ろしい呪いの言葉です。


 『あなたは、見てはならぬ。目をつむりなされ。』


 『は?』


 『せっそうに、従いなされ。』


 『はあ。』


 和尚さんが、申されるのならば、従うしかない。


 『くわんじざいぼさつ ぎょうじんはんにゃはらみつたじせうけんごうんかいくう。いっさいくやく しゃりししきふいくう…………』


 和尚さまは、お経を唱え始めました。


 さらに、お寺必携の、幽霊バリヤー兼、幽霊退散、昇天パルスを、放ちました。


 パルスの力が、幽霊さんを天に打ち上げるのだそうですが、扱いが難しく、資格がないと使えません。


 へたな人が使うと、関係無い人を巻き込んだり、自滅したりします。


 『おわ〰️〰️〰️〰️。』


 彼の方が、叫びました。


 『ぜひ、ご一緒に〰️〰️〰️〰️。』


 幽霊さんが、相手に有無を言わさず、抱きつきました。


 『よいよい。それで、よい。』


 和尚さんが、お経を唱えながら、呟きました。


 『いっさいく しんじつふこ こせつはんにゃはらみつたしゅそくせつしゅわつ。ぎやていぎやていはらぎやていはらそうぎやていぼふぢそわか はんにゃしんぎょう〰️〰️〰️〰️』


 お経の力か、和尚さんの力か、システムの力か、たぶん、全部なのか、幽霊さんと、男は、ゆらゆらと揺れ、消えて行きました。


 最後の瞬間、ぼくは、男と、目が合いました。


 『あぎゃあ〰️〰️〰️〰️。我としたことか。しくじったか。無念。願わくば、みな、成仏せよ。』


 

 その場は、和尚さまだけになったのです。



 電柱の陰に隠れていた、和尚さんのまだ小さな跡継ぎが出てきました。


 『父上、これは、どうなっていますのか。』


 『うむ。万事、成り行きなり。男女の仲は、いわく、不可思議。おそらく、あの男には、妻があるから、彼女は、密かにしたっていたのであろうか。不思議だがな。夜にばかり出会うから、顔はわからなかったか。』


 『恋は、顔ではないと。』


 『うむ。まあ、そうだな。しかし、そなた、気づいたか? あのふたりは、瓜二つである。』


 『似てるとは、思いましたが。』


 『それで、よい。おそらく、あとから現れたのは、檀家様の、ドッペルゲンガーであろう。』


 『だから、かばったのですか。しかし、ドッペルゲンガーは、話さないとか。なぜ、本人には、女性はきづか無かったのでしょうか。』


 『たしかに、ドッペルゲンガーは、会話はしないというが、あれは、我に対する対応だったのであろう。まあ、良くは判らぬな。しかし、最後の瞬間に、互いに見あってしまったのであろう。残念だが、仕方がない。ともに、お経をあげ、清めて帰ろう。』


 『はい。父上。』



 なので、結果的には、ひとりだけが、行方不明となったのである。



   

       お し ま い




          👻 ダーレダ?



 

 

 


 

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『まいごになった幽霊さん』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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