卓上の空になった食器を重ね、お盆の上に乗せる。そして急須を手に取り、湯吞茶碗に緑茶を注ぐ。


「緑茶です。熱いので気をつけてくださいね」

「嗚呼」

「ありがとう、春くん。ご馳走様でした! 手毬寿司、とっても美味しかったわ!」

「お口に合って良かったです! ありがとうございます!」


 湯呑茶碗を先生と鬼瓦さんの前に置く。急遽用意した手毬寿司だったが、彼の口に合ったようである。楽しそうな彼を見て、僕も嬉しくなり自然と笑みがこぼれた。


「そうだわ! 春くんが良ければだけど、編集部の手伝いをお願い出来ないかしら?」

「……え?! 僕がお手伝いですか!? いや、その……素人ですし、難しいのではないでしょうか……」


 突然、鬼瓦さんが手を叩くと驚きの発言をした。如何してそのような考えに至ったのかは分からないが、一般人で素人な僕にはとても務まるとは思えない。それに僕は『稲荷寿司係』として尾崎先生に雇用されている立場である。彼からの許可が必要になる。

 しかし鬼瓦さんの申し出を即刻拒否するのも、彼に悪い気がしてならない。なるべく角が立たないように、考えを改めてもらうよう鬼瓦さんに視線を送った。


「あら、大丈夫よ! 編集部の手伝いと言っても、そこの朴念仁から原稿を受け取り私に届けて貰うだけだから」

「……え……いや……ハードルが高いのでは?」


 僕の視線の意味を、単なる仕事への不安であると勘違いをしたようだ。彼から明るく告げられた仕事内容は、至ってシンプルだが成功確率は物凄くゼロに近いだろう。尾崎先生のことは本人に会う前から、鬼瓦さん大体のことは聞かされていた。

 だから担当編集者が居ない事は知っていた。原稿の受け渡しも鬼瓦さんが担っていることも教えられていた。しかし、僕にその役割が回ってくるとは思い付きもしなかった。


「大丈夫! 春くんになら出来るわ! というか春くんにしか出来ないことだわ! この朴念仁は兎に角、担当編集者を寄せ付けないのよ! 期限内にちゃんと原稿が出来ているのに、取りに来た担当を家に入れないとか! 連絡入れても電話にも出ないとかするのよ!? しかも郵送も嫌だって言うし、妖術で作った分身も外に出したくないって言うのよ!? 子どもじゃないのだから、我儘を言わずちゃんと対応をして欲しいわ!!」

「だ、大丈夫ですか? 勇美さん?」


 彼は思いの丈を叫ぶと、湯吞茶碗を鷲掴んだ。そしてまだ湯気が立っている、熱いお茶を勢いよく飲み干した。先生に対して抱えていた不満を叫んだ事、熱々のお茶を飲んでしまった事の二つの事を心配し声をかける。


「ごめんなさい、少し取り乱してしまったわ……。そういうわけでね、この妖狐で朴念仁は担当編集者泣かせなわけ。普段は私が原稿を取りに来ているのだけれど、忙しい時には面倒なのよ……」

「……そうなのですね……」


 そう告げる彼の表情には哀愁を帯びていた。尾崎先生の原稿を取りにくるのは、想像を絶する大変さがあるようだ。僕が今の彼に出来ることは、話しを聞き相槌を打つことだけである。

 

「だから! そこで春くんの出番よ! 朴念仁の原稿を届けて欲しいの!! 交通費は勿論、バイト代は弾むわよ!! だから、お願い!!」

「……え、えっと……」


 縋るように金色の瞳が僕を映した。僕に頼むぐらいなのだから、相当彼が追い込まれている事は想像に難くない。彼の提案に即答したい衝動に駆られるが、如何にかして二人の恩人を傷付けることなく場を収めたいと考える。


「おい、鬼瓦」

「何よ! 諸悪の根源! 朴念仁!」


 今迄ずっと静観していた尾崎先生が口を開いた。鬼瓦さんはその声にいち早く、反応すると鋭い口調で先生を攻め立てた。


「春一は私の『稲荷寿司係』として雇用しているのだ。副業なら、雇用主に相談をするべきではないか?」

「むっ……。朴念仁のくせに、正論を……」


 流石は尾崎先生である。僕の言いたいことを代弁してくれた。このまま荒れ狂う鬼瓦さんを諭してくれることを期待し、二人の会話を見守る。


「……原稿だけが理由ではないだろう。単に春一と会う口実が欲しいと言ったら如何なのだ?」

「なっ!? ちょっと!!」

「事実だろう。大体何時ものように鬼門を使えば、それ程の労力を使わず往来出来るだろう。その方が時間を短縮化出来、効率が良い。それをわざわざ、時間の掛かる春一に届けさせる必要性を感じない。つまり編集部の副業は、鬼瓦が春一に会うための口実だ。違うか?臆病者よ?」

「うぅ……なんで言うのよ……」


 先生の推理によって、鬼瓦さんからの急な提案に至った経緯が紐解かれた。しかし何時もよりも語尾に圧を感じる。

 もしかすると先生は、先程から散々鬼瓦さんに言われていたことを気にしていたのかもしれない。考えが暴かれた鬼瓦さんは、項垂れてしまった。


「先生、そのぐらいにして……」


 このままでは、二人の友情関係に問題が起きてしまう。余計なお世話だとは理解をしているが、僕は尾崎先生を止めに言葉を挟んだ。


「甘いぞ、春一。友と称しながら、肝心なところで真実を告げずに何が友だ。この臆病者」

「……うっ……」


 菫色の瞳と言葉が鋭く鬼瓦さんを射抜いた。確かに先生の言うことにも一理ある。しかし誰しもが堂々と本心を主張出来るわけではない。先生が彼を『臆病者』と称するところを見ると、本当の鬼瓦さんは内向的な性格なのだろう。尾崎先生は無駄なことはしない。

 だからきっと、この行動には意味があるのだ。


「つまり……先生は友達ならば、堂々と会いたいと言えということですね! 良かったですね、勇美さん!」

「……え?」

「…………」


 先生の見解を聞いた僕は、鬼瓦さんに元気よく声をかけた。対する彼は啞然とし、僕を見た。


「……あれ? ……違いましたか? だって、これは尾崎先生鬼瓦さんの本心を代弁してくれたのですよね? 『友達なら遊びたいって素直に言え』という意味ですよね? 殆ど許可してくれているのと同じです! 後は誘うだけですよ!」


 彼の反応と周囲の雰囲気から、僕の解釈が間違っていたのかと少しだけ不安になった。しかし僕の解釈の基になったのは尾崎先生の推理だ。間違いはないだろう。確認をするように、言葉を繋げていく。

 するとやはり、解釈は合っている事に気が付いた。鬼瓦さんが本当に内向的な性格ならば、少しでも言葉が出やすいように僕は彼に笑顔を向けた。


「……えっと……その……」

「はい」


 戸惑うように視線を動かし、何度か口を開閉すると意を決したように話しを始めた。促すように相槌を打つ。


「春くんに、定期的に会いたいから、恭介の原稿を届けるバイトを引き受けて頂戴!」

「……ん? 勇美さん? バイトではなくても、お誘い頂けたら喜んで会いに行きますよ?」


 予想に反して、彼からは再び原稿を届けるバイトの話が出た。そのことに首を傾げた。何故ならば、本心を隠す為である口実はもう必要ないからだ。如何して未だにバイトの話題が上がるのか分からない。

 それに僕には、尾崎先生の大切な原稿を預かるのは荷が重いのだ。出来る事ならば、その責任重大な仕事を辞退したい。彼は混乱しているのだろうかと、直接的な言葉を使い訊ねた。


「それは嬉しいけど、届けに来て!」

「……え? ……」

「だって! 恭介が居るとカッコ悪いところばかり見せちゃうもの! 今日だって、私みっともない所ばかり見せているもの! 編集部に来てくれたらバリバリカッコ良く編集長をしている姿を見てもらえるの! 原稿を届けに来て!!」

「勇美さんはカッコ悪くなんてありませんよ。素敵ですよ」

「うぅ! 嬉しい! 春くんは優しいのね! でも、バイトしに来て!!」

「えっと、それは……」


 子どものように駄々を捏ねるように、鬼瓦さんは叫んだ。彼は自身をカッコ悪いと主張するが、僕はそうは思わない。それから彼が原稿を届けて欲しいと、固持する理由も明確になった。出来れば彼の求めに応じたい所だ。

 しかし、簡単に僕の一存で返事をすることは出来ない。助けを求めるように尾崎先生を見た。


「鬼瓦」

「うっ……。うぅ……春くんと会いたいから、原稿を届けるバイトの副業を許可してください。……お願いします……」


 先生は僕の視線を受け、静かに頷いた。そして鬼瓦さんを呼んだ。名前を呼ばれた彼は視線を泳がせ後に、戸惑いながらも先生の顔を見て言葉を紡いだ。


「ふむ。春一は如何なのだ?」

「えっと……。正直、大事な原稿をお預かりするのは、僕には荷が重いとは思います。しかし、その……尾崎先生が僕に大切な原稿を預けても良いとお返事をいただけるのでしたら……。僕は出来る事なら、鬼瓦さんのバイトをさせていただきたいと思います」


 次に先生の視線が僕に向いた。僕は緊張をしながら、正直に本音を伝える。幾ら本音を偽ろうとも、虚偽は先生には見抜かれてしまうからだ。本音で話すのが一番である。鬼瓦さんが勇気を出して、先生にアルバイトについてお願いをしているのだ。友達の僕が腹を括らなくて如何する。


「うむ、良かろう。原稿は春一に任せる」

「本当ですか!? 良いのですか!?」


 彼は頷くと、僕に原稿を任せる許可を出してくれた。そして先生は湯吞茶碗を手に取り、程良く冷めたお茶を飲んだ。僕に原稿を預けてくれることは嬉しい。

 しかし彼の言葉を疑う訳ではないが、少しだけ不安があり確認の言葉を口にした。


「嗚呼、お主ならば大丈夫だろう。日頃の稲荷寿司作りから、それが分かる」

「先生……。ありがとうございます」


 尾崎先生は大丈夫だと確信した表情で語った。稲荷寿司作りと、原稿を届けることが如何関係をするのかは分からない。だが日頃の仕事を評価されている事と、大切な原稿を任せてもらえる事に嬉しさが込み上げて来た。


「言い出してなんだけど、本当に良いの? 恭介」


 驚いた後に少し言い出しづらそうな鬼瓦さんが、アルバイトの許可について問う。僕には、その気持ちが分かる。先生はちゃんと説明をすれば、大体のことは許可をしてくれる。

 しかし理由を求められた側としては、説明をした途端に許可を下りる事に少し戸惑うのだ。そのことは僕よりも先に、尾崎先生と出会っている鬼瓦さんが当惑する様子を見れば明らかなのである。


「問題ない。当人同士が必要とし、了承をしているのだ。許可しよう」

「……あ、ありがとう……」

「ふっ。何、美味い稲荷寿司を定期的に食せるようになったのは、鬼瓦のおかげでもある。我々は春一の恩人らしいからな。お主もその恩恵に肖っても良かろう?」

「あ……ふふっ! そうね!」


 尾崎先生が当然だという様子で返事をすると、鬼瓦さんが小さくお礼を告げた。先生から鬼瓦さんへの賛辞が送られる。僕と先生を引き合わせてくれたのは、他ならぬ鬼瓦さんである。先生もそのことを充分に理解しているようだ。穏やかな雰囲気が二人の間に流れた。そのことに一人、ほっと肩から力を抜いた。


「但し……『稲荷寿司係』の責務はしかと果たせ。良いな? 春一」

「はい! 勿論です!! より一層心を込めて作らせていただきます!」


 鬼瓦さんに向けていた顔が突然僕に向いた。先生の菫色の瞳が、何時もよりも真剣さを帯びている。何を言われるのだろう?姿勢を正し、力を抜いた肩に再び力が入った。尾﨑先生から告げられた内容に、彼は本当に稲荷寿司が大好きであることを再確認した。

 しかし先生らしい言付けである。僕自身もアルバイトを始めたからと言って、本業である『稲荷寿司係』を疎かにするつもりはない。二人のお役に立てるように、より一層頑張ろうと心に決めた。


「ごめんなさい。我儘を言っちゃったわね、春くん」

「いえいえ! 良いのですよ! それよりも良かったですね、勇美さん!」

「ええ、やったわ! ありがとう! これから宜しくお願いするわね!」

「はい! こちらこそ宜しくお願い致します」


 稲荷寿司アルバイトの許可が出たことに対して、僕と鬼瓦さんは喜びの声を上げた。


「あ! そういえば、この家では鯉のぼりを上げないの? 春くん、住宅地で見上げていたじゃない?」

「……え!? いや、僕は成人していますし……」


 アルバイトの話が一件落着すると、思い出しかのように鬼瓦さんが声を上げた。その内容はすっかり忘れていた、住宅地での出来事だった。予想していなかった彼の質問に、僕は戸惑いながら返事を返した。

 鯉のぼりを上げるのは、大抵幼少期だけではないだろうか。記憶の中にある鯉のぼりは、記憶がはっきりとしない頃の幼少期のものだ。


「遠慮しなくていいのよ! 此処の庭は広いし、鯉のぼりなら私が買うわよ?」

「ならば、庭に柱を立てるか」

「ちょ……ちょっと、待ってください! 確かに鯉のぼりを見上げていましたが、別に自分も鯉のぼりを上げたいとか欲しいか思っていませんから!」


 何故か遠慮しているとご認識されてしまった。鯉のぼりを買うと言い出した鬼瓦さんと、上げるための柱を立てると先生までもが言い出してしまった。一体、二人は如何してそんな事を言い出したのだろう。

 そのことを疑問に思いながらも、今すぐにでも有言実行しそうな二人を止める為に僕は声を張り上げた。


「……? じゃあ、他に鯉のぼりを見ていた理由があるのよね?」

「……えっと、そうですね……」


 首を傾げた鬼瓦さんからの質問に何となく、気まずくなり失礼だとは思いながら視線を泳がせた。


「申せ」

「いやぁ、そんな重要なことでもないですし……」


 次に尾崎先生から単刀直入に要求される。鬼瓦さんから話題を振られる今迄、忘れていたことだ。今更話す必要性を感じない。


「お友達が気になっていたことを、私も知りたいわ。教えてくれない?」

「春一」

「うっ……。分かりました。実は……」


 鬼瓦さんと尾崎先生が僕に呼びかけた。急に二人は如何したのだろう?先程まで喧嘩をしそうな雰囲気であったのに、協力しているように見える。険悪な関係よりも恩人の二人が良好な関係を保っていることは嬉しい。

 嬉しいのだが、圧が凄いのだ。言わなければ離席することは叶わないだろう。僕は観念し、鯉のぼりの尾鰭に怪異が付いていたことを告げた。


「そうだったの……。私は気が付かなかったわ」

「鯉のぼりに、怪異か……」

「えっと……そんなに深く考えていただかなくても……。怪異は身近に存在するものなのですよね?」


 二人は僕の話しを聞くと、何故か考え込んでしまった。何か変なことを言っただろうか。


「そうね……大抵の怪異は人間には見えないし聞こえないけど、人間の周囲には怪異が沢山存在しているわ。勿論、私達みたく人の姿をとり人間に姿を見せている者もいるわよ。ただ怪異でも、怪異の存在に気が付かないこともあるの。だから、春くんがその鯉のぼりに付いた怪異に気が付いた事に驚いたのよ。目が良いのね!」

「…………」

「そうなのですか、昔から視力は良い方です!」


 怪異同士でも存在に気が付かないことがあることに驚くが、それだけ多く身近に存在すれば気付かないこともあるだろう。僕は人間を見慣れているから、逆に怪異が目立って見付けられたのかもしれない。昔から視力は良いのだ。


「そうだ! その怪異を探してみない?」

「……え? 良いのですか?」

「勿論よ! 何で鯉のぼりに付いていたのか気になるじゃない?」

「はい!」


 鬼瓦さんが両手を合わせると、妙案だと顔を輝かせた。如何やら僕が見た怪異を探すことに、彼は乗り気のようだ。


「夕食迄には戻るのだぞ」

「あら? 何を言っているの? 恭介も一緒に行くのよ」

「……原稿がある」

「今月の分は終わっているでしょう? 急ぐ原稿はない筈よ? それに散歩をした方が良い案が浮かぶわよ。春くんも、そう思うわよね?」


 僕たちが謎の怪異を探しに行こうと決めていると、先生は自宅に居ると発言をした。それに対して、鬼瓦さんが一緒に行くと言葉を重ねた。二人のやり取りを見ていると、編集長と小説家という関係より友達のような気がした。そんなことを思っていると、僕へ意見を求められた。


「……はぇ? あ、えっと……そうですね。散歩をした方が、お腹も空いて夕食の稲荷寿司も美味しく召し上がれるかもしれませんね。あ! でも、先生がお忙しいのでしたら……」

「行くぞ」


 横に居る鬼瓦さんからの視線を感じ、三人で行くことを提案した。散歩をすることは悪いことではない。足を動かすことにより、体全体に血液を循環させ血の巡りが良くなる。そのことにより、脳も活性化される。更に言えば、先程お昼ご飯を食べたばかりである。お腹を空かせた方がより、食事を美味しく感じることが出来る。

 しかし、原稿の執筆に忙しいようならば無理は言わない方が良いだろう。先生の仕事の邪魔はしたくない。そう伝え終わるか如何かの所で、先生が言葉を被せて来た。


「……え? 先生?」

「ふふ! 恭介は稲荷寿司のことになると、判断と行動が早いのよ! 何か言うことを聞かない時は、稲荷寿司を盾にすれば大丈夫よ! 春くん!」


 意見を直ぐに変えたことに、驚き思わず聞き返した。すると、鬼瓦さんが笑顔で先生について説明をしてくれた。


「おい、聞こえているぞ。早く行くぞ」

「あら! やだ。じゃあ、行きましょう!」

「はい!!」


 尾崎先生は僕らに背を向けると、歩き出した。僕らも急いで立ち上がった。



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