第20話 出産レポート

【1月31日】

16:00

お腹が張る度にお腹痛いなぁ〜と思い始める。

それまでも、これは前駆陣痛と呼ばれるやつなのか?という違和感や多少の腹痛的なものはあったため、予定日もまだなので余裕ぶっこいている。

というか、どうせこれも気のせいなんだろうな、くらいの気持ち。


19:00

まだ1時間に2回痛む程度。

痛みの程度もさほど強くないけど、これが最後かもとゆっくりお風呂に入る。

それから夕ご飯。

普通に食べる。


21:00

痛みの間隔が狭まるも、耐えられる痛みなので前駆陣痛か?と思っている。

ただ、今までこんなに頻繁にお腹が痛くなることはなかったので、もしかしたら……という気持ちがどんどん強まっていく。


22:30

いつ本陣痛になるかも分からないし、夜中に病院に連絡して入院するママさんが多いなと感じていたので早めに寝てしまうことにする。



【2月1日】

00:30

痛みに目が覚める。

今まで、痛みで目が覚めたことはなかったので、これはいよいよか?!と思う。

陣痛カウンター立ち上げるも、間隔が安定しないし、痛みも耐えられるレベル。

何が陣痛で何が陣痛じゃないのかよく分からない。

でも、陣痛はこれだ!って分かるらしいから、きっとまだこれは陣痛じゃないんだろうな、と思っている。


01:30

痛みはまだ15~20分間隔、しかも耐えられる。

出産レポや、入院時にあってよかった物リストなどにちょくちょく登場するinゼリー。

そういうのはカバンに入れていなかったので、買ってくるか〜と思い立ち、着替えて徒歩3分のコンビニへ。

お水とinゼリーとオロナミンCを買う。

買ったオロナミンCは、家に帰ってすぐ飲みましたw


02:30

継続して陣痛カウンターでチェックしていると、何となく痛みの間隔が10分以内になったので産院に電話をしてみることに。

ただ、全然耐えられる痛みなので余裕の電話対応。

しかも電話している最中は痛みの波が来てないタイミングなので、余計に冷静。

結果『間隔が5分以内で定期的に来るようになったらまた連絡してください』と言われる。


03:00

だんだんと痛みが強まってくる。

痛みがキツいタイミングだと、小梅太夫みたいな叫びを上げはじめるチクショー‼︎

これはきっと陣痛に違いないと思いながら時間チェックするも、7〜8分間隔。


03:30

痛みのピークはゲロ吐きそうなくらいのが来る。

でも一向に5分以内の間隔になってくれなくて絶望する。

薄暗い寝室で歯を食いしばって耐える。

旦那には『もしかしたら陣痛来たかも』と一報入れるも、まぁ既読になるはずもなく。


04:00

ようやく陣痛が5分切る。

即電話!痛い!

ふぅふぅ言いながら電話でやりとり、さっきと同じ人が対応してくれる。

『だいぶ痛そうですね〜、じゃあ病院にいらしてください』

やったー!行きます!!!

寝ていた両親を起こし、車を出してもらう。

スーツケースとリュックを積み込み、いざ産院へ。

向かっている最中に旦那に電話するも、出ず。

きさま!寝ているなッ!


04:30

帰らされることもなく、流れでそのまま分娩台へ。

NST付けて様子見と言われる。

子宮口は3cmほど開いているらしい。

妊婦健診の時から進んでなかったら悲しいなと思っていたから、3cmと言われて安心。

隣?の分娩室から叫び声が聞こえてくる。

自分にはまだ余裕があるので、大変だなぁ……などと呑気に思う。

お前もああなるんだよォォ!


05:00

超痛い、3分おきくらいに陣痛が来る。

何回か旦那に電話するも出てくれず、自分に余裕がなくなってきたので母に連絡を頼む。

雄叫びをあげていると助産師さんが様子を見にきてくれるも、今の痛みは子宮口の方しか絡んでないから、子宮全体が痛むまではまだ掛かるね〜と言われる、絶望。

「痛みはどうしようもないから、ナースコールは破水したり、何か問題が起きた時に押してね!」ハーイ


05:30

寝ていた旦那が私の母からの電話で目覚める。

後から聞いたら、この日も午前2時まで仕事してたらしい……会社め……!

これから向かうと連絡が入り、産院最寄り駅への到着は07:30頃になりそうとのこと。

壁にかかった時計を見て、まだあと2時間以上もこの痛みに耐え続けなくてはならないのか……と思った。


06:00

だいぶ放置。

NSTも外され、ひたすら痛みに喘ぐ。

「産まれる頃には1分以内くらいの間隔で陣痛来るからね〜」と言われていて、だいたい2分半くらいの間隔だった為に絶望。

陣痛カウンターをポチポチしながら、2分台の時間が表示される度にまだか……まだなのかァァ……!ってなってた。

マジで痛い。痛む度に「いたたたたたたた、あぁーーー!いたい!いたーい!」って叫んでたら「痛いって言って発散するのはいいけど、元気取っといてね〜、休憩もしてね〜」と言われる。

「はいっ!」って反射的に返事したけど、あんまり聞いてない。というか無理。

喉カラッカラだけど、何も飲む気になれなかった。


07:30

旦那が病院に来たらしいが、まだ私のお産が進んでないからと近くで待機を命じられる。

私の実家に行くか悩んで、結局近くのドトールにいたらしいのだけど、結果的にこの判断が功を奏して立ち会いに成功することになります。伏線ってやつです。

旦那がまだ分娩室に来ないと聞き、この痛みは共有できないんかい!ってなる。

出産ドキュメンタリーとかみたいに、陣痛に苦しむ妻の腰をさする旦那、とかを想像していたけど、私の産院は違った模様。

またNST付けられる。

陣痛は割と1分間隔くらいになってるんだけど、全く破水してくれなくて絶望。

はよ破水!カモン!って願ってた。

痛くて叫んで、力抜け〜って窘められる、ムリ

あと途中で毎度おなじみ(妊娠中から何度も攣ってた)右脚のふくらはぎが攣る事件が発生。

助産師さんに伸ばしてもらう。

この時ばっかりは陣痛の痛みを忘れたw


08:20くらい?

大量の水がブシャァァってなった感覚。

あ、これは破水だ、と思って即ナースコール押す。

「破水した気がします!!!!!」

「あ、そうだね〜破水してるね〜、じゃあ旦那さん呼ぼうか」

旦那にLINE

破水した瞬間、ブレーキぶっ壊れたみたいになる。

腰の痛みが爆発して、分娩台に座っているのが耐えられない。

痛みが来る度に何か出そうになって、ヤバいヤバい叫びまくって助産師さんに「我慢して!!!!!」って怒られる。

そんなこと言われても、もう出ちゃうよ!出してスッキリしたいよ!助けて!!!ってなる。

「子宮口9cmだね、旦那さんは? 待合室?」

「すぐそこまで来てますよ」

「え? まだ掛かるから待合室で……いや、ちょっと待って全開だわ! 呼んで呼んで! 先生は?!」

「まだです!!」

「痛い痛い出るーーーーーーーーー!!!」

「出さないで!!!!! 力抜いて!!!!!」

ここからはもうあんまり覚えてない。

旦那に頭支えてもらいながら、叫び散らしてた気がする。

「1回息止めて、そこからいきむよ!」

「目開いていきんで!」って言われて、予習してきたサンシャイン池崎(サンシャイン池崎 安産 とかで検索してみてください)やる、褒められる。

「すごいすごい! パワーある! 上手上手!」

もうさっさと出したい一心。

圧迫感と痛みとで大暴れ、酸素マスク付けられて、呼吸しろと周りの全員から言われる。

「もうすぐだよー、ちょっと切るねぇ」

いつの間にか来ていた院長先生に会陰切開される。

麻酔されたのかされていないのかも全然分からない。

次の痛みの波が来た瞬間にいきんで、どぅるんって出ていった感覚。

その流れで胎盤も出したらしい。私はてっきりもっと後に出したと思っていたのだけど、旦那に聞いたら「自分でいきんで出してたよ」とのこと。


08:38

オーディエンスが沸く。

産まれたんだ……と思うが、息が上がってそれどころではない。

「はいお母さん、抱っこして〜〜! スマホは? 写真撮るよね?」

近くのサイドテーブルに置いていたスマホを操作してカメラを立ち上げる元気はある。

抱っこさせてもらうと、すごい小さい。軽い。

旦那と赤ちゃんとでスリーショット撮ってくれる。

私の顔は死んでいますが、でも嬉しそう。立ち会い間に合ってよかった。


「南雲さん初産婦さんよね? これ、もし二人目があったら気を付けてないと、痛いな〜なんて思ってる間に出てきちゃうかも!」と助産師さんに言われる。

何それこわい。


赤ちゃんは一度連れて行かれ、旦那も外に。

会陰縫合のために麻酔を打たれるも、何も感じない。

縫われてる最中に痛覚が戻ってきたのかちょっと痛みを感じて、麻酔を追加してもらう。

縫合完了して、終了!


院長先生と入れ替わりに旦那が分娩室に戻ってきて、赤ちゃんが2,275gだったと聞く。

初めのうちは体温調節なんかのために保育器に入れられるけど、酸素吸入も必要ないくらい元気らしい。

保育器に入れられる前にもう1回会わせてくれるとのことでしばらく待つ。


「産まれるの早くない? RTAでもやってた?」と旦那にツッコまれる。

私もビックリだよ。

破水してからのスピード感がヤバすぎて、もし待機と言われた段階で私の実家に帰っていたら間に合わなかっただろうし、もう少し離れた喫茶店にいてもダメだっただろうし、待合室で待たされていてもダメだった。

分娩室に入る旦那はビニールの帽子とか手袋とか服とかを身に付けさせられていて、そういうものの準備にもきっと時間がかかっていたと思うから、色んな幸運が積み重なって、立ち会いに間に合ったんだなとしみじみ。

死ぬほど喚いた出産シーンを目の当たりにしてくれたら、なんかこう……私の頑張りも記憶に留めておいてくれるでしょう。うん。


会陰の傷と、後陣痛がじわじわ痛い。

赤ちゃんが来て、もう一度スリーショットを撮ってもらう。

めっちゃカメラ目線してキメ顔の赤子、やるな……。

「お口パクパクさせてるから、おっぱい吸わせてあげましょうか」と言われ、まだ出ないおっぱいを吸わせてみると、もうちゅうちゅう吸っていました。

堪らん可愛い。


2,500g超えるまでは退院出来ないだろうから、退院のタイミングはズレるかもと説明を受ける。

保育器へゴロゴロされていく赤ちゃんを見送った後、旦那も病院を後にし、私の出産は無事に終わりを告げたのでした。

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はじめての赤ちゃん 南雲 皋 @nagumo-satsuki

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