第4話 トレーニングスタート

ゴブリンと戦闘で気を失った俺が目を覚ますとリナと一緒に寝ていた


そしてリナは俺に触れながら口を開く

「イル……強くなれよ 誰にも負けないぐらい

自由になるためには力がいる

弱いやつは誰かのマリオネットにしかなれない」


確かにそうだ 

弱いままじゃ少ない選択肢を選ばされ続ける


「イル……私の目を見ろ」


リナの瞳に俺が写っている


「よく聞け 今から真剣な話をする」

「うん」

「今夜、娼館に行くが着いてくるか?」


逃げるようにして外へ出る

空は晴天 体は快調


日差しを手で遮りながらリナも出てくる

「いい朝だなイル 今日もトレーニングだ これから何度もゴブリンと戦ってもらうからな」

げぇ……ゴブリンとまたやるのか


嫌がってても仕方がない

リナの教育方針はスパルタのようだ

頑張ってついていこう


「さっそくやるか? イル」

「あぁ やろう」

リナに少しでも近づきたい 

「やっぱり飯が先だな」


「うーわ自分から誘ってるくせに」

そういいながらカテリーナはリンゴをかじる

また盗んだのかな


「お、おはよ カテリーナ」

やっぱり返事はない







リナと2人で食事していると色々な話をしてくれる

「いいか 全ての生命は魔力を体に宿している

当然のことだが魔法使いは魔力を魔法につかう


では魔法使いではない者は魔力をどのように扱っているのだと思う?」


「え……えと」


「主に身体強化だよ 魔力操作はかなり万能だ」

俺は魔力の使い方を知らない


でも身体能力が上がればあのゴブリンはやれるかもしれない

「どうやったら魔力を操作できるんだ? 」


「まぁそう急ぐな 意識せずに自然とできるようになる者は2種類だ

才ある者か死線を潜り抜けた者

イル……残念だがお前に才能は」


なんてこった じゃあ死線を潜り抜けるってことか

だからゴブリンで俺を半殺しに

この先が不安だ


「おいおい ちびってんのか?

お前は結論を急ぎすぎる癖があるな

誰でも訓練次第では魔力を使いこなせる

訓練無しで気づかないうちに魔力操作をマスターしている奴は異常だってことさ」


「はぁ よかった」

何度も死にかける必要はなさそうだ


「体から外へ、外から体へと魔力は空気のように絶えず循環している

では魔力操作で身体能力を上げる具体的な方法を伝えよう」


「ごくり」

どんな方法なんだろう

期待と不安で緊張する


「呼吸法だ」

こきゅうほう……息をするだけか

簡単そうだ



「じゃあご飯終わったらスタートしよう

今日は依頼があるから途中からお前はカテリーナと2人きりだ 変なことしたらダメだぞ??」

突然リナの顔が曇る


「リナ……どうしたんだ?」


「カテリーナのことを伝えておかないとな

お前に冷たいが別に嫌っているわけじゃない


あの子は親に捨てられ教会で育ったんだが……


まぁ辛いことが重なりに重なったんだ

他人と関わることをいつも恐れている」


そうかそういう事情だったのか


他人の苦労を理解できるほど人生経験はない

だからこそ出来るだけ安らぎを与えれるように努めよう





食事を終えてカテリーナと合流する

「よしカテリーナも来たなさっそく旧市街地へ

ごーごーごー」


「テンションたか……」

リナは空気を和ませるためによくふざけてくれる

俺とカテリーナの2人きりってやばくないか


会話が続かなそう


まぁいいや 気になったことを質問しよう

「なぁ 旧市街地ってどうして今は使われてないんだ? 強い魔物でもいるのか?」


「いい質問だ 強い魔物はいる

でも冒険者達が倒せないレベルじゃない」


「じゃあなんで取り返さないんだ? 」


「取り返すも何も取られていない

人間が捨てたんだよ


魔物の発生パターンは主に2通り

 シンプルに繁殖するパターン

 魔力によって自然発生するパターン


突如発生した魔物によって亡くなった冒険者も多い


旧市街地は低級の魔物が頻繁に自然発生するために捨てられた」

そういう経緯があったのか

強くて博学で優しい


かっこいいなぁ








旧市街地へ到着する

オークが住処にしているエリアにいるらしい

強さはゴブリンの比じゃない


昨日のゴブリンとの戦闘を思い出しただけで身震いする

2人とはぐれたら終わりだ


旧市街地への行く途中もずっとその呼吸法とやらを聞いていていたが全然やりかたがわからない


旧市街地は木造の家が立ち並んでいる

屋根がないところや家自体が壊滅しているところもちらほら見受けられる


行く手を遮るオーク達を虐殺と言えるレベルで切り、見通しのいいところを陣取る


「やっぱり強いなぁ……」

当たり前だが2人は異常に強いうえに息もぴったりだ


「さぁ教えた通りに呼吸を始めろ

魔力を感じるんだ」

そんなこと言われたって無理だ

血の流れを意識してコントロールしろと言われているような感じだ


「出来そうか? 」

「むりぃ 他の方法……」

「仕方がないな 残念だ 私は教えるのが下手でな

死にかけるしかなさそうだ」

リナは俺の体を薄く切り、首を絞める


息が出来ない 体が痛い

「死に際はもっととも生命力が活発になる

魔力が体を流れる速さは普段の倍ぐらいになるはずだ

感じろ 魔力の流れを」


むり 


死ぬ死ぬ 


いきできな 


あぁまた誰かに頼ろうとしている


俺は強くなるんだ


胸の奥に熱を感じる

どくどくと心臓よりはゆっくりではあるが音を立てている


これが魔力







「あぁ気絶しちゃったかな 」


それが最後に聞こえた





ぼんやりと視界が明るくなってくる

「リナ……起きたよ」

「おはよーじゃあ再開だぁ」


まだ喉が押されているような感覚がある


ちょと……まっ


「いい? 

最初は魔力を感じること そして魔力の流れを知覚する つぎに呼吸を通じて流れをコントロールする

慣れれば呼吸なしでも自在に操れる」


俺を押し倒して馬乗りになる

リナの体重が重くのしかかる






目を覚ますとカテリーナが心配そうにこっちを見ていた

「お、おはよ」

「うん」 おはようの返事にうんと言われた


うれしい



「あの リナは?」

「依頼があるって」

絶妙に目が合わない

俺の首元を見て話している


収穫はあった 体の芯のようなところが熱かった


今もやらないとその感覚がなくなってしまいそうな気がする


「ふぅ はぁ ふぅ」

教えてもらった呼吸法を試したが全くあの感覚を再現できない


昨日食べたものの感想は覚えているが

味そのものを思い出せないような感じに似ている


「カテリーナ……首を絞めてくれないか」

ゆっくりと頷いてこちらへやってくる


返事は聞こえなかった


首を両手でしっかりと掴み、締める

さっきと同じように押し倒される


体と体が密着する

俺は彼女を見上げながらだんだんと意識が遠のいていく


これを何度も繰り返している


「イル もう休憩しないと」


「確かに もうやめとくよ」

ドクターストップがかかった ドクターじゃないけど

最初よりは一段と魔力というものの存在を感じる

だか魔力の流れというのは全く感じれない


リナの発言をまとめると次のようになる

ステップ1

 魔力を知覚

ステップ2

 魔力の流れを知覚

ステップ3

 呼吸法を通じて魔力の流れをコントロール

ステップ4

 呼吸なしで自在にコントロール


一朝一夕にはいかないのはわかっている

ゆっくりと上達していこう


カテリーナは壁にもたれている

退屈そうだ


なんか話さないと なんて話そう

「カテリーナも俺みたいなやり方した?」


「してない」


「そっか すごいなぁ」


会話が終わってしまった


訪れる沈黙

重い空気



カテリーナはなぜかご機嫌な様子になった

まぁ不思議ではあるが嬉しいことだ


少ししてリナが歩いてきた

「よぉ……お待たせ〜」


縛られた女を担いで帰ってきた

カテリーナはこの様子に驚いてもいない

俺もこれに慣れる日が来るのかな


「じゃあ帰ろっか どうだった?」


「ん〜イマイチって感じ でも魔力っていうのは少しだけわかったよ」

これを使いこなしたら冒険しよう すごく楽しみだ






ゴブリンのいた館をまた歩いている

今度は少し明るい


リサは捕らえた女を担いでいる

この女をどうするのか考えるのも恐ろしい










_____________

キャラ紹介


リナ=ルクレシア

   28歳

   ソーニャ盗賊団のメンバー

   体術を重視した戦闘スタイル

   灰色の髪

   髪型はポニーテール

   180cm

   

カテリーナ=フォンデンブルク

   16歳

   金髪ロング

   163cm


イル=グランド

   14歳

   白髪で目にかかるほど伸ばしている

   160cm


________________

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"ルクレシア〝  最弱冒険者が盗賊にジョブチェンジ 救国の英雄になるようです ユライアス @395Macbeth

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