第6話 ヒロインとさっそくバチバチ⁉

 わーお、さすがヒロイン。

 一気に雰囲気持って行かれたね。

 まぁ、私はあまり荒波立てたくないからね。

 それに死にたくないので……。

 あまり問題を立てたくないから……。

 どうぞシナリオ通りに進んでいってくださいね。

 あー、シナリオ通りに行ってしまってはダメだった……。


 シナリオでは、このままセイテンとペスカが皇帝に謁見しに行く。

 そのまま皇帝さんの近くの席に座ることになる。

 その時が問題なのだ。

 元々は、皇帝さんを挟んで皇太子であるセイテンと次期聖女候補者のペスカが座りその後楽しくパーティを楽しむということだったのだ。


 なのだが........

 流石、乙女ゲー恒例わがままヒロイン!さっそく問題起こしやがるんですよ。

 プレイヤーからしてみたら、攻略キャラの好感度に関わる最初の重要イベント。

 しかし、こちら側したらただの邪魔。問題起こしなさんな。君が問題起こしたら私がーガレナが死んでしまう確率が上がるんでね⁉


 そんでもって、どんな問題を起こすのかというと、

 本来は上のようになるはずだったのだが、誘導がよく分からなかったのか

 そのままセイテンの隣にあった王様方用の席に座ってしまったんだな。


 王様については今は少し置いておいて........

 何でそれが問題なのかというと、セイテンは腐っても皇族。

 まぁ、位が貴族界隈の中では桁違いに高いんだよね?

 そんでもって、ペスカは男爵家出身で貴族内での位は一番下なんだな。

 ちなみに、イベルがなっている騎士は頑張れば平民でもなれることがあるから爵位はないよ。

 まぁ、イベルは子爵家出身だから、あまり関係ないんだけどね。

 そんで、そんな男爵家の娘が何の断りもなく皇族の隣に座ってしまったということになるんだ。

 そして、皇族の隣に断りもなく座れるのは隣に座る皇族の配偶者・若しくはその婚約者........だけなんだな。

 つまり、セイテンの婚約者であるガレナは普通に座れるんだけど、婚約者でもないペスカは座れないんだよ。普通は……。


 だけどね、セイテン様認めちゃうんだな。隣に座ることを……。


 そこで、元々そこに座るはずだった王様や侯爵家側の人達から、婚約者であるガレナへの侮辱であると、反感を買われるんだな。

 それに乗じて、ガレナ自体もぺスカへ少しばかりキツめに注意したんだね。

 それがあまりに強い口調だったもんだから……前世の私と比べたらそこまで強くはないんだけどねぇ。

 まぁ、聖女側である人達から非難されて悪役令嬢の完成となる訳ですな。


 もうお気づきかもだけど、別に本気でガレナはぺスカを虐めていた訳ではなく、表情や声色が悪かっただけなんだよ?


 だから、問題事に首を突っ込まないこと、態度に気をつけることを意識したら大丈夫!


 なんかと考えていたら、シナリオ通りにことが進んでいたみたいで口論が勃発していた。


 兄、ヘルトを筆頭にガレナへの侮辱であると言い罪を与えるべきと主張する側と、聖職の反感を恐れまだ無知でわからなかっただけと主張する神聖国側。


 ここで私が悪役になるかどうかはこれからの受け答えにかかっている。

 ここで変に相手側を刺激してしまってはダメだ。


「ガレナ嬢は如何お思いですかな?」

 と私の意見を求めているのは、ぺスカに席を取られたアリオン王だ。

 彼は意外と必要なキャラだから味方にしておきたい。

 しかし、そうなるとゲームの二の舞になるからどうしようかな…。


 そうだ、こうしよう!

「そうね。確かにセイテン様の婚約者としては屈辱的ね…。聞いた話によると、ぺスカ様は平民出身のそうじゃない?だったら貴族としての立ち振る舞いはお分かり有りませんよね?だったら致し方ないわ。私は割と寛大な方なの、だから今回は特別に不問にしてあげる。だけど、もう一度同じことをしたらタダじゃ済まないと思っておいてくださいね?」

 と渾身の決め台詞を言い終えドヤ顔でぺスカを睨む。


 この発言で、婚約者を奪われかけた可哀想な被害者という認識になってもらいたいんだよ。

 どうも皆様私の術中にハマったようでね?

 皆私には同情の目、対して彼女には怒りの色で見ていた。


 これで作戦成功?

 でも、彼女は怒らせちゃったな〜

 滅茶苦茶顔真っ赤じゃん。

 セイテン様がどうにかするでしょう?

 さてと、パーティ楽しもー。


「ちょっと!待ってください……!」泣きそうな声と顔でぺスカがそう言った。

 何よ。私は貴方に極力関わりたくないのですが?

 不愉快な顔で振り返ってみたら、随分離れていたはずのぺスカが目の前にいた。


 えっ!?どうなってるの?

 惚けていると、ぺスカが手を挙げた。

 そしてそのまま勢いよく下げてきた……

 って、この子私に平手打ちかますつもり?

 そう理解した途端自然と目を閉じていた。


 しかし、来るであろう痛みが来ない。

 どうなっている?

 恐る恐る目を開けると、紫色の髪の青年がぺスカと対峙していた。

「いくら聖女候補者でも、妹に手を出すのは許せません。」と言い、掴んでいたらしいぺスカを軽くはね飛ばした。


 カッコイイけど、ヘルト何してるの?

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乙女ゲームの悪役令嬢になったので、異世界エンジョイしながら新規事業を立ち上げたいと思います 紫泉 翠 @sorai_4572_

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