第2話 お迎え時のぼっち
13時50分になると、息子を迎えに行くために家を出る。
これも、わたしのしんどいことの1つ。
息子が通っている幼稚園は、バス組の子たちが先にバスに乗り込む。
バスが出発次第、門の手前に一列に並んだ徒歩組、車組の子たちをそれぞれ親が門のとこまでお迎えに行く。
どこがしんどいのかというと、園バスが出発するまでの時間である。
待ち時間は日によって違う。幼稚園に着いたときに、すでにバスが出発している日はいいのだが、5分、長いときは10分待つ。
この待ち時間がわたしはしんどいのだ。
ぼっちが際立つ時間だから。
いくつかグループができているなかで、ぽつんと1人で待っているのは、なかなかにしんどい。
だからといって、朝、息子を送るときのように時間を早めにしてママ集団を避けることはできない。
すでに待っているママ集団から少し離れたところでバスが出発するのを待つ。
待っているママさんたちはそれぞれが2、3人、多いところは5人のグループになり盛り上がっている。
最初は挨拶をするべきかと、タイミングを伺った。
何度か息子を送るときに「おはようございます」と挨拶したことがあったが、目線も合わさずに「おはようございます」と返されたのが怖く感じてしまい、それから挨拶をためらうようになった。
知っている人には笑顔で挨拶を返すけれど、知らない人には挨拶を返してくれない人もいる。
多くの人は、仲の良い人たちで固まり、おしゃべりで盛り上がっている。
どうしても、集団で話している人たちに、自分の方から挨拶しようとはならなかった。
わたしには、固まって大きな声で話している人たちが、得体の知れない巨大ななにかに見えて、毎回、心臓が嫌な音の立て方をする。
けれど、お迎えに行かないという選択肢を選ぶなんてありえないから、「幼稚園 お迎え ぼっち」で検索してみたり、尊敬しているママさん有名人の本を読んでみると、少しだけ勇気を分けてもらえた。
「輪の中に入りたくないなら、入らなくてもいい!!」
「気の合う人とだけ話せばいい!」
そう自分に言い聞かせてみる。そうすると、少しは気が楽になる。
だけど、お迎え時のぼっちであることへのしんどさは全部はなくなってはくれない。
なにがしんどいのか自分でもちゃんとは分からない。
なんとなく感じる視線なのか、ぼっちでいることがやっぱり寂しいのか、集団でいる女の人たちが怖いのか、いじめられていたときのことをフラッシュバックしてしまうことなのか。
―――――とにかく、今は、息子を迎えに行くことだけに集中しよう。
本でもらった言葉をお守りにして、嵐のファイトソングを頭の中で口ずさみながら、わたしは今日も幼稚園までの道を1人で歩く。
いじめられっ子、母になる ゆうり @sawakowasako
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