超次元戦機ブレイズファイター

ゴリ・夢☆CHU♡

第1985話 さらばブレイズファイター!!

 遥か未来。


 宇宙は悪の皇帝バッドバッダーに支配されていた。


 バッドバッダーは全宇宙を奴隷とし、残虐と非道を尽くし、もはや宇宙から希望は失われたと思われた……


 しかしアンドロメダ銀河の片隅、太陽系の小さな惑星に、希望の光は灯ったのである!


 これは、バッドバッダーの操る機械兵団に対抗するため生み出されたスーパーロボット、超次元戦機ブレイズファイター、そしてパイロット、ナミエ・イチの物語である!!



 〜これまでのあらすじ〜



 地球、ネオトーキョーに暮らす平凡な高校生だったナミエ・イチ。


 彼はバイトの面接に落ちた帰り道、野良猫を追いかけているうちにロボット工学の権威、クリスティ博士の秘密ラボに迷い込んでしまう。


 打倒バッドバッダーに燃えるクリスティ博士のラボに侵入したことを咎められたナミエは、三日三晩に及ぶ押し問答の末、ナミエの前歯に付着していた青のりが決め手となり、博士の作り出したスーパーロボット・ブレイズファイターのパイロットとしてバッドバッダー率いる機械兵団との命懸けの戦いを余儀なくされる。


 その後、ナミエは激化していく戦いと並行して、電車に乗り遅れる、大学入試に落ちるなどの挫折を乗り越えながら、人間として成長していく。


 一方ブレイズファイターのパイロットとしては、地球を担当していた悪魔軍曹アークマンや極悪大使ゴックアクを皮切りに、地獄大尉ジーゴック、怪物中佐カーイブッツ、悪魔将軍アークマンヌなどの強敵をそれぞれ三日三晩に及ぶ激闘の末に次々撃破、地球をバッドバッダーの支配から解放した。


 そうこうしているうちに時は経ち、気付けばもうじき30歳。パイロットとしての報酬が高卒の新入社員ほどであることに不満を持ったナミエはストライキを決行、バッドバッダーの機械兵団が迫る中、クリスティ博士との三日三晩に及ぶ押し問答の末、博士の好物がかつお節であることが決め手となりおよそ二割の賃上げを約束させ、機械兵団を退ける。


 同じ頃、ナミエは孫の顔が見たいという親からの催促が激しくなり、隣家に住む同い年の幼馴染、ライセ・サケとお互い消去法で結婚。しかし夫婦関係はひと月を待たずして冷えきってしまう。愛情はなくとも嫉妬心は人一倍強いナミエは妻の浮気を疑い、ブレイズファイターを駆使しライセを監視するが、ライセもナミエを監視していたことが発覚。三日三晩に及ぶ夫婦喧嘩の末、お互い監視していなかったということで決着、事なきを得る。


 その間、バッドバッダーの侵略の手は止まず、ブレイズファイターは一人ずつやってきた皇帝直下邪悪四天王チーギュ、スイドー、カーメン、フータローをそれぞれ三日三晩に及ぶ激闘の末に撃破、地球の安全を磐石なものとする。


 ナミエとライセの間に息子が生まれ、私立の小学校に行かせるか否かで実家を巻き込んだ大騒動が起こる中、度重なる部下の失態に痺れを切らし、ついに自ら地球に降り立った悪の皇帝バッドバッダー。ブレイズファイターとの最終決戦が始まる。


 バッドバッダーとブレイズファイターの一進一退の攻防はもはやどちらかの死でしか決着せず、互いにゴキブリ並みの生命力を持つ二人の戦いは自己最長となる一週間に及び、帰宅するなどして一旦中断。ナミエは息子の教育方針で妻と三日三晩に渡る押し問答を繰り広げついに、しばらく様子を見るという結論に至ったのであった。


 バッドバッダーが一時帰宅を終え地球に再来訪。バッドバッダーは自らに改造手術を施し、ブレイズファイターは苦戦を余儀なくされる。しかしナミエがバッドバッダーの家庭が冷えきっていることを指摘するとバッドバッダーは動揺。隙が生まれ、ブレイズファイターは見事必殺のブレイズファイターアタックを食らわせついにバッドバッダーとの長きに渡る戦いに終止符を打ったのであった……



 最終話 さらばブレイズファイター!!


 ━━10年後 ネオトーキョー


「あれからもう10年か。なあジョッシュくん」


 クリスティ博士はコーヒーを飲みながらそう呟いた。クリスティ博士はロボット工学の研究を続け、育児用ロボット「ドゥルウェモン」を開発、その功績が認められノーベル物理学賞を受賞した。


 ジョッシュ助手はネオトーキョー大学工学部の教授に就任。クリスティ博士の助手を続けながら、後進の育成に当たる。


「ええ。彼らは今、どこでどうしてるんでしょうか……」


「なあに、きっと元気でやっているさ」


 ━━ネオハカタ


「いらっしゃあい! 安いよ安いよ!! ウチはここらじゃ最安値だよ!!」


「ねえ、ニンジンちょうだい」


「あいよぉ! 一本百円だァ!!」


 ナミエ・イチの親友にして超次元戦機ファイティングブレイズのパイロット、トゥーモ・ダッツは生まれ故郷であるネオハカタに帰還。家業の八百屋を賑わせる。


 ━━ネオセンダイ


「どうしたんだい、お嬢ちゃん?」


「ママがいないの……」


「よし、お巡りさんに任せておきなさい」


 ナミエ・イチの従兄にして超次元戦機ファイティングファイターのパイロット、カズン・イチは警察に就職、交番のお巡りさんとして住民に親しまれる。


 ━━ネオニューヨーク


「ヒッヒ〜! 男は殺せ!女は奪え!暴れ回れェ!!」


「待ちな!」


「ヒイッ!? なんだテメェは!!?」


「ただの通りすがりさ!」


 ナミエ・イチの宿命のライバルにして超次元戦機ブレイズブレイザーのパイロット、ライブ・アライブは世界各地を旅しながら弱き人々を悪から救い、多くの人々から慕われる。


 ━━ネオヨコハマ


「ほらー! もう学校遅れちゃうわよ!!」


「はーい!!」


「ハハハ。朝から元気がいいなあ」


 ブレイズファイターのオペレーターだったレイコ・オペラとメカニックだったニック・メカザワはクリスティ博士のラボを退職。それぞれ就職し結婚。生まれた娘と三人仲睦まじく暮らす。


 ━━ネオナゴヤ


「ヒッヒ〜! 女は殺せ!男は奪え!暴れ回れェ!!」


「待ちな!」


「ヒイッ!? なんだテメェは!!?」


「ただの通りすがりさ!」


 ナミエ・イチの運命のライバルにして超次元戦機ブレイザーブレイズのパイロット、ライ・フアライフは日本各地を旅しながら弱き人々を悪から救い、多くの人々から慕われる。


 ━━ネオアンドロメダ宇宙会議場


「バッドバッダーの支配が終わって10年の記念日です。今日こそ宇宙平和条約を締結するときです!!」


 宇宙には自由と平和が戻り、破壊された星々は復興を果たし、宇宙中で交流が盛んになり、ついに新しい時代が幕を開けた。


 そして━━


 ━━ネオトーキョー・ネオマチダ


「こらあ!そろそろ中学受験だってのに勉強サボってゲームばっかりして!!あなたからもなんか言ってちょうだい!!」


「いやあ。やっぱり子供はのびのび育てるべきだと思うんだよねえ」


「あなた! まだそんなこと言ってるの! 今は競争社会の学歴社会なのよ!! 今のうちに備えとかないでどうするの!」


「そうは言ってもなあ……」


「ムーコにあなたみたいに苦労してほしくないのよ!!」


「じゃあなにか!? オレが負け組とでも言いたいのか!?」


「そうよ! あなたは昔っから……」


「それを言うならお前こそ昔っから……」


「うるせえ! 今いい所なんだよ!! ようやくラスボスまで……」


「「子供は黙ってなさい!!!!」」


 今日もナミエ一家のケンカは三日三晩に及ぶ。


 この景色を守ったのは、他ならぬナミエ自身なのである。


 ナミエに幸あれ。


 地球に幸あれ。


 宇宙に幸あれ。


 そして、すべての人々に、幸あれ。


 ~完~

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

超次元戦機ブレイズファイター ゴリ・夢☆CHU♡ @heiseicyclone

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ