もちろん嫌な事はあったけど、可愛い女性とイチャイチャしたり、ちょっぴりエッチな生活を送って、ハッピーエンドを迎えられたので、幸せ一杯です! (短編集)
妻に裏切られた俺は、家政婦になっていた高校時代の同級生を雇うことにしました。その女性は俺に優しいので幸せです
妻に裏切られた俺は、家政婦になっていた高校時代の同級生を雇うことにしました。その女性は俺に優しいので幸せです
「結構前の話だけど、喫茶店でお茶をしていた時に偶然、由香さんと友人らしき女性を見かけてね。高校の時は仲が良いって程じゃなかったから、声も掛けずに様子を見ていたら、あなたとの結婚生活の事が聞こえてきたの」
奈々さんはそう言って、買い物袋から食材を取り出し始める。
「その時に聞こえてきたのが、あの人とは楽するために結婚しただけ。そうじゃなければあんな冴えない男と結婚しないわよって会話で──」と、奈々さんは言い掛けて、手を止めた。
確かに体が震えるほど腹が立つ言葉だ……あいつは俺を利用していただけだったんだな。別れて正解だった!
「私、それがすっごく許せなくて……」
「何で?」
「何でって……分からない?」
「ごめん、分からない」
「もう……高校の時からあなたのことが好きだったからだよ」
奈々さんは最後の方をボソッと言うと、恥ずかしそうに髪を撫で始めた。
「そんなまさか……そんな素振りなかったじゃないか」
「だって……由香さん、私が栄治君に告白するのを邪魔してたんだよ」
「え……あ! まさかあの時の──」
「そう……高校の時に由香さんが破り捨てたのはあなたへのラブレターだったの」
「そうだったのか……」と俺が言うと、奈々さんはまた買い物袋から食材を取り出していく。
「話を戻すと、許せなかった私は、嫌だったけどそこで由香さんに話しかけて、電話番号を教えて貰って、色々と聞いたって訳」
「それじゃあの時は、俺が買い物に来るタイミングを狙って来たってこと?」
「うん……」
奈々さんの表情が何だか暗い。まだ何か隠していることがあるのだろうか? 奈々さんは手を止めると「あのね──」
「実はそこまでいく前に、話してないことがあるの」
「え、なに?」
「せっかく結ばれたのに、隠しておいて、あとで揉めたくないから正直に話すね」
奈々さんはそう言って大きく深呼吸すると、「由香さんに急に男が出来たのは、私が仕組んだの」と衝撃的な事を口にした。
「え……」
「あなたがあまりにも可哀想で、私も腹の虫が治まらなかったから、別れさせるために裕福でイケメンの男を紹介したの」
「そうだったのか……じゃあ何であいつは、よりを戻そうとしたんだろ? そっちの方が断然いいだろ?」
「それは、相手はちょっと訳ありの人だったからよ」
「あぁ……」
奈々さんは俺から視線を逸らすように俯くと「──幻滅、した?」
今までの話を聞いて俺のことを想ってくれている奈々さんが、ただただ愛おしくて「いや……」と答えて、台所へ向かう。奈々さんの後ろに立つと、包み込むようにソッと抱きしめた。
「そんな事ないよ、むしろ嬉しい。あのさ──何で奈々さんは冴えない俺なんかをそこまで想ってくれているの?」
奈々さんは俺の腕に自分の手を重ねると「私は一度もあなたの事を冴えないなんて思ったことないよ。ずっと見ていたから、あなたの素敵なところをいっぱい知ってる」
「そう……ずっと見ていてくれたのに気付かなくて、ごめんね。これからはずっと奈々さんを見ているから、許してほしい」
「うん」
奈々さんは優しく返事をして、離さないという意思表示なのかギュッと俺の腕を掴んでくれた。遠回りはしてしまったけど、俺は今とても幸せだ。これからもずっとこの幸せが続きますように……俺は奈々さんの温もりを感じながらそう願い、ソッと目を閉じた。
※※※
奈々と恋人になってから数カ月が経つ。俺たちは順調に結婚の準備を進め、いまは打ち合わせを済ませて、公園を散歩していた。
「式場との打ち合わせも、ほぼほぼ終わったし、あとは当日を待つだけだね」
「うん、そうね。──あ! そうだ。忘れないように先に渡しておく」と、奈々は言って、ハンドバッグから紙袋を取り出し、差し出してきた。
「なにこれ?」
「ふふん、とりあえず受け取って」
「分かった」と、俺は返事をして紙袋を受け取る。
中身を開けると、そこには札束が入っていた。
「え……何これ?」
「あなたが私に支払ったオプション料」
「まじで? 俺、こんなにも支払っていたんだ」
「どれだけ私が好きなんだか!」
そう言った奈々は、どこか誇らしげであった。
「それで、これをどうしろと?」
「返す。もともとはそうするつもりだったの」
「じゃあ……」
「うん、最初から結婚を狙ってました!」
あまりにも清々しく奈々さんが言うので、思わずクスッと笑ってしまう。
「ありがとう。君を選んで正解だったよ」
「えへへ、面と向かって言われると照れちゃうよ」
由香は子供を望まなかったけど、奈々にそんな気配はない。奈々に貰ったお金は大事に取っておこう。二人の幸せのために。
一方、由香の方はというと、慰謝料をイケメンの金持ち君に払って貰ったから、別れられずに奴隷のように、こき使われていると、友人から聞いた。あいつは今まで何もしてこなかったから、余計に苦労するだろうな。ちょっと可哀想だが、自業自得だ。
お前は不幸のどん底だろうけど、俺は奈々と幸せになる! そう思いながら、奈々の肩に手を伸ばしてグッと引き寄せた。
「え、ちょ、何よ~」
「奈々、これからも宜しくな!」
「うん!」
木漏れ日が奈々を照らし、奈々は天使のような可愛い笑顔を見せる。可愛い家政婦さんは居なくなって寂しいけど……俺はこの笑顔が見られて、とても幸せです!
------------
後書き
------------
最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました。
一話でも良いと思う話がありましたら、評価してくださると励みになります!
皆さんの温かい応援がいつも励みになっております。
もちろん嫌な事はあったけど、可愛い女性とイチャイチャしたり、ちょっぴりエッチな生活を送って、ハッピーエンドを迎えられたので、幸せ一杯です! (短編集) 若葉結実(わかば ゆいみ) @nizyuuzinkaku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます